アメリカの金融政策を率いる連邦準備理事会(FRB)のパウエル議長が、2020年2月11日の議会証言で大きな決断を明かしました。2019年10月から続けてきた短期国債の買い入れを、2020年7月にも減額する方針を示したのです。
金融市場のパニックを鎮めるために始まったこの対策ですが、終了へ向かう一歩にSNSでは「実質的な引き締めではないか」と警戒する声が広がっています。中央銀行の資産規模を操る舵取りは、非常に繊細なバランスが求められる局面を迎えているようです。
市場では一時的にドルが買われて円安が進み、1ドル=110円に迫る場面もありました。この動きに敏感に反応したのがトランプ大統領です。証言の最中に「パウエル氏が話し始めた途端、株価が下がった」とSNSに皮肉を投稿し、不満を露わにしています。
金利の跳ね上がりを抑えた臨時の市場安定策
そもそも今回の国債購入は、2019年9月に起きた短期金融市場の混乱がきっかけでした。銀行同士が極めて短い期間の資金を貸し借りする「銀行間金利」が、当時は一時10%近くまで急騰し、本来の政策金利を大きく上回る事態に陥ったのです。
この資金枯渇を解消するため、FRBは毎月600億ドル規模で短期債を買い入れ、市場へ現金を送り込んできました。パウエル議長は「潤沢な資金を供給する効果があった」と胸を張ります。確かに銀行の預金残高は増え、足元の金利は落ち着きを取り戻しています。
しかし、当時の資金不足の根本的な原因は実は完全には解明されていません。企業の税金支払いなどが重なったためという説明に留まっており、単にお金を積み増すだけでは、構造的な欠陥を解決できていないのではないかという不安が専門家の間でも燻っています。
「見せかけの薬」が市場を動かすリスクと今後の展望
FRB側は、今回の措置を「金利をコントロールするための技術的な調整」と呼び、景気刺激を目指す「量的緩和」とは別物だと強調してきました。しかし、この買い入れが始まってから株価が10%も上昇したため、市場は事実上の緩和と受け止めています。
中央銀行のこうした資産政策は、心理的な影響が非常に大きいと言えます。たとえFRBが「効果は限定的だ」と計算していても、いざ支援を縮小するとなれば、投資家たちが過剰に怯えて世界的な株安を引き起こす「副作用」を招きかねません。
私は、今回の縮小方針は市場との対話を誤れば大きな混乱を招くと考えます。原因不明の病に偽薬(プラセボ)を処方し、効きすぎたからと急に引き抜くようなものです。大統領からの緩和圧力も強まる中、パウエル議長は極めて難しい着陸を迫られています。
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