2019年08月16日の東京外国為替市場では、円の対ドル相場が極めて限定的な値動きに終始しました。一日の高値と安値の差を示す値幅はわずか25銭程度に留まり、これは2019年07月末以来の小ささとなっています。投資家たちの視線は、来たる2019年08月23日に予定されている、米連邦準備理事会(FRB)のパウエル議長による講演に注がれているのです。FRBとはアメリカの中央銀行に相当する機関であり、そのトップの発言は世界中のマネーの流れを左右する大きな影響力を持っています。
現在のマーケットは、パウエル議長が今後の追加利下げに対してどれほど前向きな姿勢を見せるのかを固唾を呑んで見守っています。利下げが行われれば一般的にドル安要因となりますが、その確信が得られるまでは積極的な売買を控えようという「様子見ムード」が市場全体を包み込んでいるのでしょう。1ドル=106円台前半という狭いレンジでの推移は、まさに嵐の前の静けさを象徴しているかのようです。SNS上でも「これだけ動かないと手が出せない」「週末の講演待ちで退屈な展開だ」といった、投資家たちのじれったい思いが滲む投稿が散見されました。
特筆すべきは、2019年08月15日にアメリカの長期金利が一時1.5%を割り込み、約3年ぶりの低水準を記録したにもかかわらず、円高ドル安が加速しなかった点です。通常であれば、日米の金利差が縮小することでドルを売って円を買う動きが強まるはずですが、今回は市場の反応が鈍く、膠着状態が続いています。これは、すでに金利低下の要因が価格に織り込まれているか、あるいはそれ以上にパウエル議長の発言による不透明感を嫌気している証拠と言えるかもしれません。経済の定石が通用しにくい、非常に神経質な局面を迎えていると推察されます。
投機筋の動向と今後の展望
さらに需給面を見てみると、シカゴ・マーカンタイル取引所(CME)の通貨先物市場におけるデータが興味深い変化を示しています。2019年08月06日時点の集計によれば、投機筋による円の持ち高が約1年2カ月ぶりに「買い越し」へと転じました。買い越しとは、将来の円高を見越して円を買っている状態が売っている状態を上回ることを指します。これまで円を売っていた投資家たちの買い戻しが一巡したことも、現在の円相場が上値の重い展開となっている一因ではないでしょうか。需給のバランスが一度リセットされた状態にあると考えられます。
編集部としての見解ですが、この膠着状態は決して長くは続かないと見ています。2019年08月23日の講演内容が市場の期待よりも保守的であれば、失望感から一気に円安方向へ振れるリスクも孕んでいるからです。逆に大胆な緩和姿勢が示されれば、再び105円台を目指す円高の波が押し寄せる可能性も否定できません。今は焦ってポジションを取るよりも、世界経済の舵取り役が発する一言一句を精査し、次のトレンドが明確になるのを待つのが賢明な判断でしょう。SNSでの議論も、講演当日には一気に過熱することが予想されます。
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