【2019年6月】NYダウ一時最高値更新の裏にある「危うさ」とは?利下げ期待で進む株高と円高の行方を徹底解説

世界の金融市場が今、奇妙な熱気に包まれています。2019年6月21日の米株式市場において、ダウ工業株30種平均が一時、昨年10月に記録した史上最高値である2万6828ドルを超えました。この株高の波は株式だけに留まらず、金や原油といった国際商品にも波及しています。

しかし、実体経済に目を向けると、決して手放しで喜べる状況ではないのが現状です。景況感が悪化しているにもかかわらず、株価だけが上昇するという「ねじれ現象」が起きています。今回は、この市場の動きの背景と、そこに潜むリスクについて詳しく解説していきます。

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「悪いニュース」が株高を招くパラドックス

なぜ景気が悪いのに株が上がるのでしょうか。その最大の要因は、米連邦準備理事会(FRB)による「利下げ観測」です。FRBとは日本でいう日本銀行のような中央銀行にあたります。市場では、FRBが近いうちに金利を引き下げるだろうという予測が急速に強まっているのです。

一般的に金利が下がれば、企業はお金を借りやすくなり、事業拡大のチャンスが増えます。また、金利の低い債券よりも、配当や値上がりが期待できる株式の魅力が相対的に高まるため、投資マネーが株式市場になだれ込んでいるのです。

実際、シカゴ・マーカンタイル取引所(CME)のデータによると、市場参加者が織り込む7月の利下げ確率はなんと100%に達しており、年内には複数回の利下げが行われるとの見方が大勢を占めています。

金・原油への資金流入とSNSでの反響

この「カネ余り」の波は、株式以外の市場も押し上げています。利息がつかないため敬遠されがちな「金(ゴールド)」にも資金が流入し、ニューヨーク先物は日本時間2019年6月21日の昼時点で一時1トロイオンス1415ドルをつけました。これは約6年ぶりの高値水準です。

また、原油先物も上昇しており、地政学リスクの高まりも相まって、エネルギー関連の相場も熱を帯びています。こうした状況に対し、SNS上では個人投資家たちから様々な声が上がっています。

ネット上では「米国株の含み益がすごいことになってる!」「利下げ期待だけでここまで上がるのはバブルっぽい」「実体経済は冷え込んでるのに株だけ上がるのは不気味だ」といった、資産増を喜ぶ声と、先行きを不安視する声が入り混じっています。

景気後退のシグナルと日本株の苦境

市場の楽観ムードとは裏腹に、経済指標は警告を発しています。調査会社IHSマークイットが算出した5月のグローバルPMI(製造業購買担当者景況感指数)は、約6年半ぶりの低水準となりました。PMIとは、企業の購買担当者にアンケートを行い、景気の良し悪しを数値化したものです。

通常、PMIは「50」が景気判断の分かれ目とされていますが、今回はその50を下回りました。中国政府発表の5月の製造業PMIも同様に50を割っています。つまり、製造現場の肌感覚としては「景気は後退している」のです。

一方で、日本市場はこの世界的な株高ウェーブに乗り切れていません。2019年6月21日の日経平均株価は前日比204円安の2万1258円で取引を終えました。これは、米国の利下げ観測によってドルが売られ、円高が進んだためです。

東京外国為替市場では一時1ドル=107円05銭付近まで円が上昇しました。輸出関連企業が多い日本株にとって、円高は業績の重荷となります。世界株の中で日本株だけが出遅れている現状は、投資家にとっても歯がゆい状況と言えるでしょう。

編集後記:砂上の楼閣に警戒を

今回の株高は、あくまで「金融緩和への期待」というガソリンで走っている状態であり、企業の業績拡大という「エンジン」が伴っているわけではありません。米中貿易摩擦などの懸念材料が解消されないまま、期待だけで相場が吊り上がっている現状には、強い危うさを感じます。

もし実際に景気後退が鮮明になり、企業の業績悪化が表面化すれば、割高感の強まった株式市場は大きな調整を迫られる可能性があります。S&P500の予想PER(株価収益率)も上昇しており、割高感は否めません。

私たちは今、実体のない期待感に踊らされているだけなのかもしれません。投資家の皆様におかれましては、目先の株高に一喜一憂せず、実体経済の指標を冷静に見極める姿勢が必要不可欠であると考えます。

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