2019年6月29日、プロ野球パシフィック・リーグの交流戦明け初戦で、オリックス・バファローズの山本由伸投手が、埼玉西武ライオンズ打線を相手にプロ野球界でのキャリア初となる完封勝利を収めました。エース格の投手が任される大一番で、高卒3年目にしてこの役割を担った山本投手と、同じく高卒3年目の西武・今井達也投手との同級生対決も注目を集める中での快挙達成です。チームの今季初の5連勝を懸けた登板となった山本投手は、序盤からエンジン全開。強気な投球術で打者をねじ伏せる姿勢を見せつけました。
圧巻だったのは試合の立ち上がりでした。先頭打者の秋山翔吾選手には、最速155キロの快速球、すなわち速いストレートをどんどん投げ込み、その球威を意識させたうえで、最後はワンバウンドするフォークボールを振らせて三振を奪います。続く源田壮亮選手には、一転して変化の大きいカーブを連続で投じ、タイミングを外して空振り三振。そして外崎修汰選手も、再び速球で追い込んだ後にフォークボールという組み立てで、見事に3者連続三振を記録しました。この多彩な球種と、打者への意識を操る投球術が、山本投手の大きな武器と言えるでしょう。
実は、この試合前の山本投手は、先発投手として登板機会が増えた今シーズン、防御率(投手が1試合あたりにどれだけの自責点を与えているかを示す数値で、低いほど優秀)はリーグトップという堂々たる成績を誇りながらも、勝利数はわずか3勝と、少々物足りない状況でした。これは、味方打線からの得点援護に恵まれない試合が多かったことに他なりません。自身の好投と打線の援護が噛み合わないという、もどかしい思いを抱えていたに違いありません。
この日も援護点は少なく、8回までに得られたのは初回にもぎ取ったわずか1点のみでした。西村徳文監督も、送りバントやスクイズといった作戦を駆使して何とか2点目を取ろうと試みますが、なかなか追加点が遠い展開です。しかし、最小限のリードであっても、焦ることなく淡々とアウトを積み重ねていけるのが、山本投手の精神的な強さ、そしてたくましさの証明と言えるでしょう。特に3回、無死満塁という大ピンチの場面では、「絶対に抑えられる」という強い信念を曲げずに投げ抜き、見事に無失点で切り抜ける勝負強さを見せつけました。
試合が終盤に差し掛かっても、「とにかく1イニングずつ」と、自分の投球ペースを崩すことなく投げ続けました。山本投手の持ち球であるストレート、フォーク、カーブ、そしてカットボール(速球に似た軌道から小さく鋭く変化する球)の全てが、打者にとって決定打となる「勝負球」になり得るため、一度打者を追い込んでしまえば非常に有利な状況を作り出せます。最後の打者、森友哉選手に投じられた速球が152キロを計測するなど、最後までスタミナ切れとは無縁の力強い投球を披露しました。これがプロ入り後初めての完投であり、初めての完封勝利という事実に、彼の持つ完成度の高さがまざまざと示されたと言えるでしょう。
この山本投手の活躍は、SNS上でも大きな反響を呼びました。「山本由伸、強すぎる!」「これでまだ3年目なんて信じられない」「防御率の割に勝ち星が少なかったけど、今日のピッチングは文句なし」「ストレートの球威がエグい」「フォークの落差がすごい。打者はどうやって打つの?」といった称賛の声が相次ぎ、彼の卓越した能力と、その若さに驚きの声が上がっています。特に、最速155キロのストレートと落差の大きいフォークボールの組み合わせは、「魔球」のようだとも評されています。
私見ですが、この日の山本投手の投球は、まさしく次世代のエース像を体現しているように感じられます。ただ速い球を投げるだけでなく、ピンチでも全く動じない精神力と、緩急や変化球を自在に操る高い技術力を兼ね備えています。打線の援護が少ない状況でも、自らの力で試合を完結させるという強い意志が、今回の初完封という結果に結びついたのではないでしょうか。若くしてこれほどの完成度を見せる山本投手が、今後、オリックス、そして日本のプロ野球界を背負って立つ存在になることは間違いないでしょう。彼の今後のさらなる飛躍に期待が高まります。
コメント