【北海道発】過疎地で輝く!顧客満足度4年連続首位「セイコーマート」のSPA戦略と直営店運営に学ぶ次世代コンビニの勝ち筋

全国に広がる大手コンビニエンスストアの激しい競争の中で、異彩を放ち、4年連続で顧客満足度トップに輝いている企業があります。それが北海道を拠点とする**「セイコーマート」を運営するセコマ**(札幌市)です。サービス産業生産性協議会の調査において、2011年度以降、2019年度を含めてなんと8回も首位に立つという快挙を成し遂げています。この「セイコーマート」が、北海道民にとって「なくてはならない社会インフラ」として認識されている背景には、人口減少や過疎化が進行する地域でも着実に利益を上げ続ける、独自のビジネスモデルがあるのです。今後のコンビニエンスストアのあり方を考える上で、セコマの戦略は大いに参考になるでしょう。

北海道内を車で移動する際、都市部を離れるにつれて大手チェーンの看板が減り、代わりにオレンジ色の「セイコーマート」の看板が増えていく光景は、道民にとってはお馴染みでしょう。セコマは、北海道内のほぼすべての市町村に1,091店舗(2019年7月時点)を展開しており、その真価は特に過疎地でこそ際立っています。人口3,000人未満の自治体は34ありますが、その地域にあるコンビニエンスストア49店舗のうち、なんと36店舗をセコマグループが占めているという事実は、その地域密着ぶりを物語っています。

例えば、オホーツク海に面する紋別市の上渚滑(かみしょこつ)地区は、約900人の住民が暮らす過疎化に悩む地域です。数年前に唯一の小売店だったスーパーが撤退したこの地に、2017年にセイコーマートが出店しました。営業時間は午前6時半から午後9時までと、一般的なコンビニにしては短いにもかかわらず、出店以来、収支は「トントン」で推移しているといいます。驚くべきは、その客単価です。上渚滑店では、一般的なコンビニの1.5倍から2倍もの高い客単価を実現しているのです。

一般的に、コンビニエンスストアの経営を安定させるには、徒歩5分圏内に3,000人程度の人口が必要とされています。このため、大手チェーンは都市部の一等地を奪い合い、24時間営業といったサービスで「消耗戦」とも言える競争を続けてきました。しかしセコマは、過疎地という立地条件でも安定して稼ぐ独自のビジネスモデルを確立しています。その秘密は、大きく分けて**「製造小売業(SPA)の追求」と「柔軟な直営店運営」**の2つにあります。

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「製造小売業(SPA)」でコストと品質を徹底管理

セコマのビジネスモデルの1つ目の秘密は、上渚滑店の商品棚を見れば明らかです。牛乳や弁当、お菓子、インスタント麺など、製造者の欄にはセコマグループの企業名がずらりと並びます。セコマは、北海道内に20以上の工場を持つメーカーとしての側面も持ち、原料生産から一貫して**プライベートブランド(PB)の商品を手がけるSPA(Specialty store retailer of Private label Apparel:製造小売業)**のビジネスモデルを追求しているのです。

大手チェーンがPB商品の製造を社外に委託するのに対し、セコマは丸谷智保社長が「店舗は商品販売チャネルの一つ」と位置づけるように、自社での製造にこだわります。2007年からは農業生産法人の運営も開始し、今では120ヘクタールもの農場を所有しています。このように自前で製造・物流まで担うことで、コスト管理が容易になり、メーカーとしても利益を上げることが可能になります。この収益構造があるからこそ、過疎地でも積極的な出店が可能になるのでしょう。人気PB商品はドラッグストア大手のウエルシアホールディングスなどへの外販も行い、セコマグループの売上高約2,000億円のうち、外販比率は約1割に達しています。

セコマは物流機能も自前で保有しています。配送センターから出たトラックは、北海道内の隅々にある店舗に商品を届け、その帰り道に農業生産法人や食品工場から荷物をセンターに持ち帰るという、効率的な循環物流を構築しています。北海道の広大な土地で低コストで商品を運ぶためには、外部の運送事業者に頼らず、自前で一貫したシステムを構築することが不可欠なのです。

直営店中心の柔軟な運営が地域ニーズに応える

2つ目の秘密は、直営店を中心とした**「運営体制」にあります。大手チェーンがフランチャイズチェーン(FC)方式で店舗を拡大してきたのに対し、セコマは約8割が直営店です。丸谷社長は、この直営店比率の増加の背景には「オーナーの高齢化で店を引き継いだことなど」があると説明されています。過疎地では、加盟店オーナーのなり手が少なく、人手も確保しづらいという厳しい現実があります。しかし、「なんとかして小売店を残したい」という地元の切実なニーズに応えるため、「苦肉の策」**として直営店を増やしてきたという経緯があるのです。

この直営店化が、今やセコマの大きな強みとなっています。FC契約で画一的な運営を強いられがちな大手チェーンの加盟店とは異なり、セコマでは地域の実情に合わせて本部が柔軟に施策を決定できます。現場の裁量も大きく、例えばFC店であっても24時間営業にするかどうかは店舗側が選べるのです。20年近くセイコーマートで働く札幌市内の40代店長は、「個別の要望が通りやすいのでスタッフが定着しやすく、シフトも組みやすい」と語っています。また、店内でカツ丼などを調理する**「ホットシェフ」もセコマの看板商品ですが、直営店同士であれば、近隣店舗で働き手や商品を融通し合える**利点もあります。

直営店が増えることは、アルバイトなどの人件費負担を本部が負うことを意味するため、人手不足や賃金高騰はセコマにとって深刻な課題です。しかし、この地域密着型の柔軟な運営体制こそが、道民の生活を支え、高い顧客満足度へと繋がっていると私は考えます。コンビニエンスストアは単なる小売店ではなく、地域社会を維持するための生活インフラとしての役割がますます重要になっており、このセコマの姿勢はまさに時代の要請に応えていると言えるでしょう。

セコマは2018年12月期に5億円の純利益(単独ベース)を計上し、傘下各社も「黒字を維持している」とのことです。非上場企業のため詳細な財務内容は把握できませんが、着実に収益を上げていることがうかがえます。一方で、セブンーイレブン・ジャパンが2019年2月期に1,532億円もの純利益を稼ぎ出していることと比較すると、大手との差は歴然としています。セコマが今後も大手に対抗し、地域になくてはならない存在として勝ち抜いていくためには、製造・物流・販売を一貫して手がけるSPAとしての強みをさらに磨き続けることが必要不可欠でしょう。

セコマの成功は、単に商品が優れているというだけでなく、「地域に寄り添い、生活を支える」という強い意志に基づいた、その出店戦略と運営モデルにあると私は強く感じます。このセコマの挑戦は、人口減少社会における小売業の未来を考える上で、非常に大きな示唆を与えてくれるでしょう。

SNS上でも、「北海道に行くと必ずセイコーマートに行く」「ホットシェフの出来立てのカツ丼が最高」「過疎地にもあって本当に助かる」といった熱烈な支持の声が多く見受けられます。こうした顧客からの高い評価こそが、セコマの持続的な成長の源泉であり、他の追随を許さない最大の競争優位性となっているのです。地域に根差した**「真のコンビニエンス(便利)」**を提供するセコマの戦略は、まさに次世代コンビニの理想像と言えるのではないでしょうか。

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