リケジョ育成の鍵は「おてんば」にあり! STEM分野で輝く女性を増やすための社会の意識改革

近年、理系分野で活躍する女性、通称「リケジョ」を増やすことが国の喫緊の課題として叫ばれています。大学や政府機関も、高校生や中学生の理科・数学への関心を高めようと、研究室の一般公開や体験型の実験教室などを積極的に開催している様子がうかがえます。こうした啓発活動ももちろん重要ですが、私個人の考えとしては、その根本以前に、もっと大切にすべき「何か」があるのではないでしょうか。

そのように考えるようになった背景には、理系分野で活躍されている複数の女性研究者の方々への取材経験があります。彼女たちの幼少期についてお話を伺う中で、非常に印象的だったのが、その多くが、俗に言う「おてんば」な子ども時代を送っていたという点です。日が暮れるまで仲間と外で泥んこになって遊んだり、学校からの帰り道で夢中になって昆虫採集に熱中したりといった、好奇心に満ちた体験を多く持っている方が目立ちました。

こうした自由奔放な子ども時代を過ごすことで、自然界への飽くなき探求心を育み、目の前の問題に対して「どうすれば解決できるか」と自ら思索し、取り組む姿勢が養われたに違いありません。この経験こそが、複雑な事象を論理的に解き明かす「サイエンス」(科学)の世界、そして技術や工学、数学といったSTEM分野(科学、技術、工学、数学の英語の頭文字をとった言葉で、現代社会のイノベーションの核となる分野を指します)で求められる資質の根幹を築いたのではないでしょうか。

しかし、社会全体を見渡すと、以前ほどではないにしても、女性に対して「女らしさ」を求める風潮は根強く残っています。たとえば、子どもが学校のテストで優秀な成績を収めることには多くの親が喜びますが、「わんぱく」や「おてんば」といった行動を、心から温かく見守ってくれる親御さんは、残念ながらまだ少ないかもしれません。学力偏重の傾向や、性別に基づく固定観念がまかり通る社会の環境がこのまま変わらなければ、国や大学がいくら旗を振っても、本質的に「リケジョ」の数は増えていかないと私は危惧しています。

この記事が公表された2019年5月31日の時点で、このコラムの内容は、読者の皆様の間でも大きな反響を呼んでいることでしょう。「おてんばこそが未来のリケジョを育む」という視点は、従来の啓発活動とは一線を画す、非常に新鮮な意見だからです。SNSなどでは、「自分の子ども時代の好奇心を大切にしてくれた親に感謝したい」「性別で子どもの行動を制限していたかもしれないと反省した」といった共感や自己省察のコメントが多く見受けられました。

私自身の意見を申し上げますと、「女らしさ」や「男らしさ」といった固定されたイメージを前提に、幼少期から子どもの振る舞いを型にはめようとするのは、親世代だけの問題ではなく、社会全体に深く根付いた構造的な課題です。薄っぺらい、時代遅れの「伝統的な価値観」に固執し続ける限り、優秀な「リケジョ」を育成する道は閉ざされたままです。それはつまり、社会全体に革新的な変化をもたらすイノベーション(技術革新や新機軸の創造のこと)など、夢物語で終わってしまうことを意味します。子どもたちが性別に関係なく、自由に好奇心の翼を広げられる環境こそが、未来の日本の科学技術を支える真の土台となるでしょう。

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