2019年07月05日、自動車部品の大手メーカーである東海理化が、私たちのライフスタイルを劇的に変える新たな挑戦を発表しました。スマートフォンを鍵として活用する「デジタルキー」事業への本格参入です。これまで物理的な鍵を回してエンジンをかけたり、自転車のロックを外したりしていた日常が、いよいよ過去のものになろうとしています。IT技術の進化によって、あらゆるモノがインターネットにつながるIoTの波が、移動のあり方そのものを根底から覆そうとしているのです。
今回の参入の背景には、次世代の移動サービスとして注目される「MaaS(マース)」の急速な拡大があります。MaaSとは「Mobility as a Service」の略称で、バスや電車、タクシー、さらにはシェアサイクルなど、あらゆる交通手段を一つのサービスとして統合し、予約から決済までシームレスに行う考え方を指します。東海理化はこの新たな市場を勝ち抜くための柱として、2020年春から自転車や自動車のシェアリング事業者向けにシステムの販売を開始する計画を立てています。
スマホ一つで予約から解錠まで!手ぶらで移動できる革新的な仕組み
ユーザーが体験するのは、驚くほどスマートなプロセスでしょう。専用のアプリを通じてクラウド上からデジタルキーをダウンロードすれば、近くにある自転車や駐車スペースを即座に予約できます。従来のカーシェアのように、特定の場所で物理的な鍵を受け取る手間は一切必要ありません。スマホを持って対象に近づくだけで通信機が認識し、画面をワンタッチするだけで解錠が完了します。この手軽さは、忙しい現代人の移動をよりスムーズに変えてくれるはずです。
この革新的な技術の応用範囲は、決して車両だけに留まりません。例えば、貸し駐車場ビジネスにおいては、ゲートに近づくだけで自動的にバーが上がるシステムも想定されています。さらに、数時間ごとにオペレーターが入れ替わる建設現場の重機管理や、再配達問題で注目を集める宅配ボックス、コインロッカーといった分野への展開も視野に入れているようです。鍵という「セキュリティの要」をデジタル化することで、サービスの利便性は飛躍的に向上することでしょう。
「所有」から「利用」へ。5G時代が加速させるシェアリングエコノミー
ネット上のSNSでは、この発表に対して「物理的な鍵を失くす心配がなくなるのは嬉しい」「スマホの充電が切れた時が少し不安だけど、未来を感じる」といった期待と懸念が入り混じった声が上がっています。自動車の消費が「所有」から「利用」へとシフトし、さらに超高速通信を実現する「5G」の商用化を2020年に控えた今、コネクテッドカー(つながる車)の市場は空前の盛り上がりです。もはや、デジタルキーは贅沢品ではなく、社会に不可欠なインフラとなるでしょう。
トヨタ自動車が都内で実証実験を先行させる中、ドイツのボッシュやコンチネンタルといった世界的なメガサプライヤーも開発にしのぎを削っています。東海理化が主力であるスイッチ類やシートベルトといったハードウェアの枠を超え、ソフトウェア主導のサービスに踏み出したことは、生き残りをかけた英断だと言えるでしょう。私自身、鍵の受け渡しというアナログな障壁が消えることで、移動の自由がさらに拡張される未来に大きな可能性を感じずにはいられません。
コメント