食品業界の技術者集団として知られる不二製油グループ本社が、大きな一歩を踏み出します。2019年09月20日に新装開業を迎える大阪・大丸心斎橋店本館に、同社初となる一般消費者向けの常設店を出店することが、2019年07月05日に明らかとなりました。これまではBtoB、つまり企業向けの素材提供を主軸としてきた同社が、ついに私たちの目の前でその実力を披露してくれるのです。
注目の新店舗は、本館2階のフードコート内に誕生する「UPGRADE Plant based kitchen(アップグレードプラントベースドキッチン)」という名前のショップです。ここでは、植物性素材を主役にした驚きのメニューが提供される予定で、健康意識の高い層を中心に早くも話題を集めています。SNS上では「あの不二製油の味が直接食べられるなんて贅沢!」「大豆ミートがどこまで進化しているのか楽しみ」といった期待の声が溢れています。
肉や乳製品を超越する?最新技術が支える「プラントベース」の魅力
このお店の目玉は、なんといっても「大豆ミート」と「豆乳クリーム」をふんだんに使った料理の数々でしょう。ここで使われるプラントベース(植物性)食品とは、単なる肉の代用品ではありません。大豆ミートは、油を搾り取った後の大豆を粉末にし、特殊な機械で熱と圧力を加えることで、まるでお肉のような食感を生み出した魔法のような食材です。これを揚げる、焼くといった調理法で、からあげやラザニアへと変貌させるのです。
また、同社の強みである豆乳クリームは、独自の分離技術によって生クリームのような濃厚なコクを実現しています。こうした高度な技術力は、これまでチョコレート用油脂の開発などで培われてきました。しかし、清水洋史社長は「技術だけでは稼げない時代」と危機感を口にしており、今回の出店は、消費者が何を求めているのかを直接肌で感じるための、非常に重要なマーケティングの拠点という側面も持っているのです。
急成長する大豆市場のリーダーとして歩む不二製油の挑戦
実際に大豆ミートの需要は右肩上がりで、日本植物蛋白食品協会の調査によると、2018年の国内生産量は10年前の1.5倍となる約3万1000トンにまで達しました。不二製油はこの分野で国内シェア約5割を誇る絶対的なリーダーです。現在、大阪の阪南工場はフル稼働状態が続いており、2020年07月には千葉県に新たな工場を建設する計画も進んでいます。今回の直営店は、まさに勢いに乗る中で満を持して投入される一石と言えるでしょう。
編集部としては、この動きを単なる「健康ブームへの便乗」とは捉えていません。これまでは「我慢して食べる代わり」だった代替食品が、不二製油の技術によって「美味しそうだから選ぶ」という前向きな選択肢へとアップグレードされる瞬間を目撃しているのだと感じます。技術力の結晶が、心斎橋という流行の発信地でどのように花開くのか、非常に興味深い試みです。私たちの食卓の常識が塗り替えられる日も、そう遠くないのかもしれません。
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