佐渡裕が挑むバーンスタインの原点!ミュージカル『オン・ザ・タウン』で体感するニューヨークの躍動と愛

兵庫の夏を彩る風物詩として定着した、兵庫県立芸術文化センターの「佐渡裕芸術監督プロデュースオペラ」が、2019年もいよいよ幕を開けます。2019年07月12日から上演されるのは、世界的指揮者である佐渡裕氏が師と仰ぐ、レナード・バーンスタインが手掛けた傑作ミュージカル『オン・ザ・タウン』です。巨匠の魅力が凝縮された音楽と、圧倒的な熱量を放つダンスが融合する舞台は、今から多くのファンの期待を集めています。

物語の舞台は、活気あふれるアメリカ・ニューヨークです。24時間の休暇を許された3人の水兵たちが、初めて訪れる大都会に胸を躍らせる「お上りさん」として冒険を繰り広げます。彼らが異国の地で出会う女性たちとの恋模様は、若さゆえのみずみずしさとエネルギーに満ちあふれており、観る者の心を明るく照らしてくれるでしょう。都会の喧騒と青春の輝きが交差するストーリー展開は、まさにエンターテインメントの真髄といえます。

しかし、単なる陽気な喜劇に留まらないのが、本作の深い味わいです。底抜けに明るい描写の裏側には、やがて戦地へと赴く兵士たちが抱く一抹の寂しさが、まるで一滴の雫のように混じり合っています。名作『ウエスト・サイド物語』の生みの親として知られるバーンスタインが、26歳の若さで書き上げた初のミュージカル作品には、当時の時代背景が色濃く反映されている点も見逃せません。

SNS上では「佐渡さんが振るバーンスタインなら間違いない」「映画版の『踊る大紐育』が大好きなので生上演が楽しみ」といった熱い声が飛び交っています。1944年のニューヨーク初演当時、アメリカは日本と激しい戦火を交えていました。佐渡氏は「戦争という困難な時代だからこそ、人々に勇気と元気を与えたいという作曲家の強い願いを感じる」と、作品に込められた祈りについて真摯に語ってくださいました。

スポンサーリンク

世界水準の才能が集結!日本初の英語上演で味わう「本場」の衝撃

1949年には『踊る大紐育(ニューヨーク)』として映画化され、ジーン・ケリーやフランク・シナトラの出演で世界的な大ヒットを記録した本作ですが、今回は貴重な機会となります。1990年にこの世を去ったバーンスタインの生誕100周年を締めくくるべく、佐渡氏は上演機会の少ない本作をあえて選出しました。特筆すべきは、原語である英語による日本初の上演が実現する点ではないでしょうか。

「師から学んだ一人として、彼の作品を世に広める義務がある」と語る佐渡氏の言葉からは、並々ならぬ決意がにじみます。バーンスタインの音楽は、クラシックの枠を超えてジャズやポップスの語法を取り入れた、聴く人を高揚させる「魔法」のような力を持っています。水兵のゲイビーが切々と歌い上げる「ロンリー・タウン」などの名曲は、一度聴けば忘れられないほど美しい旋律に満ちています。

専門的な視点で見れば、本作にはプロコフィエフやショスタコーヴィチといった、当時のソ連を代表する作曲家の影響も色濃く反映されています。彼らは力強いリズムや独特の和声感覚(音の重なり)を得意としており、バーンスタインはそれらを自身の感性で見事に昇華させました。若き日の彼が、自分の書きたい音楽を真っ直ぐにぶつけた瑞々しい旋律は、時を超えて私たちの感性を刺激してやみません。

今回の舞台を支えるのは、ロンドンでの厳しいオーディションを勝ち抜いた精鋭たちです。オペラ歌手だけでなく、バレエやミュージカル界から招かれた約20名のトップダンサーが集結しました。振り付けを担うのは、名門・英国ロイヤル・バレエ団の元プリンシパル(最高位のダンサー)であるアシュリー・ペイジ氏です。世界最高峰の身体表現と音楽がどのように共鳴するのか、期待は高まるばかりです。

主演のチャールズ・ライス氏は、オペラ歌手でありながら激しいダンスに挑みます。「これほど多くの振り付けをこなすのは初めてだが、元気な水兵を演じきりたい」と意気込みを語る姿は頼もしい限りです。佐渡氏は、歌手が幅広い表現力を備えている英国の舞台芸術の層の厚さに感銘を受けています。この高いハードルを越えた先に、今まで私たちが目にしたことのない新たな地平が広がっているはずです。

さらに、2010年の『キャンディード』以来、9年ぶりとなる東京公演も予定されています。「オペラとミュージカルの境界を取り払いたい」という佐渡氏の自由な発想は、芸術の可能性を広げる素晴らしい挑戦です。日常を忘れさせる「びっくり箱」のような驚きと感動が詰まったこの舞台は、きっと観る人の人生に新たな彩りを添えてくれることでしょう。今、この瞬間にしか味わえない輝きを、ぜひ劇場で目撃してください。

コメント

タイトルとURLをコピーしました