2019年07月06日、東京・上野にある国立西洋美術館で、ある興味深いエピソードが披露されました。駐日フィンランド大使のペッカ・オルパナ氏が語ったのは、今から約15年前のフィンランド北端、ラップランド地方での出来事です。一人の少女が父親に対して、「ねえパパ、男の人も大統領や知事になれるの?」と無邪気に問いかけたといいます。この驚くべき質問の背景には、当時の彼女を取り巻く当たり前の日常が隠されていました。
当時のフィンランドでは、行政区の知事をハンネレ・ポッカ氏が務め、国のトップである大統領にはタルヤ・ハロネン氏が就任していました。つまり、少女にとってはリーダーとは女性であるのが当然の景色だったのです。かつて大統領として12年間国を率いたハロネン氏は、国民から愛着を込めて「ムーミン・ママ」と呼ばれていました。SNS上でも、この逸話に対して「環境が子供の常識を作る素晴らしい例だ」と大きな反響を呼んでいます。
当時の少女は現在24歳へと成長し、母国の「緑の党」で2人の女性副党首のうちの1人として活躍しています。彼女自身が、かつての女性リーダーたちを「ロールモデル」として育った証と言えるでしょう。ロールモデルとは、自分自身の行動や考え方の模範となる人物を指す専門用語です。身近に憧れる存在がいることで、人は自分の将来をより具体的に描き、困難な道をも切り拓く勇気を得ることができるのではないでしょうか。
芸術が育んだ平等精神と日本の政治が迎える転換点
現在、上野で開催されている「モダン・ウーマン」展では、19世紀以降のフィンランド近代美術を牽引した女性芸術家たちが紹介されています。かつて列強諸国に挟まれていた小国フィンランドは、文化の力で国を強固にするため、男女が平等に学べる美術学校を設立しました。当時の芸術の都パリでさえ成し遂げられなかった、先進的な教育体制を整えたのです。この歴史的な土壌こそが、現代の女性活躍を支える強固な基盤となっています。
翻って日本の現状に目を向けてみますと、2019年07月04日に公示された参院選では、候補者に占める女性の割合が戦後最高の28%に達しました。数字の上では前進しているように見えますが、他国と比較すれば真の男女平等な政治参画への道はまだ険しいと感じざるを得ません。フィンランドの事例が示すように、政治の世界において性別の壁を感じさせない環境を作ることは、次世代の可能性を広げるために不可欠な投資なのです。
私は、日本にも子供たちが自然に憧れるような「ムーミン・ママ」のような存在が、一日も早く現れることを切に願っています。特定の性別が有利になるのではなく、誰もが能力を最大限に発揮できる社会こそが、国を豊かにするはずです。未来の日本を担う少年少女たちが、自らの可能性に蓋をすることなく夢を語れる社会。そんな未来を託せる候補者を見極めるため、私たちも責任を持って一票を投じる必要があるでしょう。
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