2019年07月08日、全国の知事が2018年度にどれほどの収入を得ていたのかを明らかにする所得報告書が出そろいました。今回の公開対象となった42都道県の知事における給与所得を紐解くと、平均額は1876万円という結果になっています。これは私たちの税金が原資となっている極めて透明性が求められる数字ですが、前年度と比較可能な自治体のうち、実に約85%にあたる36都道県で受取額が増加していることが判明しました。
給与が増えた背景には、近年の税収の伸びに伴う地方財政の改善が大きく関わっています。これまで多くの自治体では、厳しい財政状況を立て直すための「財政再建」を理由に、知事自らの給与を削る減額措置を講じてきました。しかし、景気の回復基調を受けてこれらの措置が終了、あるいは縮小されたことで、本来の支給水準に戻るケースが相次いでいるのです。自治体の家計簿が潤うことは喜ばしい反面、その恩恵がまずはトップの懐に反映される形となりました。
個別のランキングに目を向けると、給与所得の最高額を記録したのは神奈川県の黒岩祐治知事で2491万円に達しています。これに続くのが千葉県の森田健作知事の2465万円となっており、首都圏のリーダーたちが上位を独占する格好となりました。他にも宮城や兵庫、福岡など計10県で知事の給与が2000万円の大台を突破しており、地方都市の首長であってもその責任の重さに比例した高額な報酬が支払われている実態が浮き彫りになっています。
対照的に、最も支給額が少なかったのは東京都の小池百合子知事の1253万円でした。これは小池知事が「身を削る改革」の象徴として、自身の給与を半減させる条例を継続しているためです。世界的な大都市である東京のトップが全国最低額というねじれ現象は、SNS上でも「パフォーマンスか、覚悟の現れか」と大きな議論を呼んでいます。秋田県の佐竹敬久知事もこれに次ぐ低水準ですが、前年度からは461万円という大幅な増加を記録しました。
佐竹知事の増加幅が際立っているのには特殊な事情が存在します。2017年度、同知事は大雨災害の最中に県外でゴルフをしていた問題の責任を取り、大幅な減給処分を受けていました。2018年度はその制裁期間が終了し、通常の支給額に戻ったために、数字上は急増したように見えるわけです。その他の自治体における増加については、給与カットの廃止だけでなく、公務員の期末手当、いわゆるボーナスの支給率が引き上げられたことも主な要因として挙げられます。
また、副業等を含む「所得総額」に注目すると、平均は1957万円まで跳ね上がります。ここでもトップは神奈川県の黒岩知事で、講演料や年金収入などの雑所得が305万円あったことから、総額は2795万円に及びました。知事という多忙な職務をこなしながら、自身の知見を活かして外部からも収入を得る姿は、現代的なリーダー像とも言えるかもしれません。なお、選挙で交代があった大阪や沖縄などの5府県は、今回の公開ルールに基づき対象外となっています。
編集者の視点:数字の裏にある「納得感」とリーダーの姿勢
今回の所得公開を受けて、SNSでは「民間の給与が上がらない中で知事だけ増えるのは納得がいかない」という厳しい声が上がる一方で、「責任の重さを考えれば妥当だ」という擁護論も飛び交っています。私は、単に金額の多寡を論じるのではなく、その報酬に見合うだけの「成果」を地域住民が実感できているかが重要だと考えます。財政が良くなったから給与を戻すというのは論理的ではありますが、住民の生活実感との乖離には注意すべきです。
特に小池知事のように、あえて低額に抑えることで改革の姿勢を示す手法は、有権者への強いメッセージになります。しかし、それが単なる人気取りに終わらず、実質的な行政コストの削減や住民サービスの向上に繋がっているかを見極める目が必要です。一方で、しっかりと報酬を受け取る知事には、それ以上の経済波及効果を県にもたらす手腕が期待されます。2019年07月08日に示されたこの数字は、私たちが1票を投じたリーダーの価値を問い直す良き指標となるでしょう。
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