空への憧れを胸に抱き、大空を舞台に活躍するパイロットを目指す若者たちがいます。山梨県にある日本航空高等学校の航空科では、未来の大空を担う生徒たちが、日々プロフェッショナルへの階段を駆け上がっています。2019年07月08日、同校3年生の大下創平さんは、実機さながらの緊張感が漂う飛行シミュレーターを用いた訓練に挑んでいました。モニターに映し出される景色と複雑な計器類を前に、操縦桿を握る手にも自然と力が入ります。
この日の授業は、実際の飛行に不可欠な「無線通信」に焦点を当てた実践的な内容でした。教員が航空管制官の役割を担い、操縦席に座る生徒に対して次々と指示を飛ばしていきます。「ターンライト(右へ旋回せよ)」という指示に対し、大下さんは即座に応答しようと試みますが、機体の制御に意識を奪われるあまり、一瞬の迷いが生じてしまいました。右か左か、頭では分かっていても言葉が追いつかないという、空の厳しさを物語る光景がそこにありました。
航空業界では、管制官からの指示を正確に聞き取り、それをそのまま復唱する「リードバック」という重要なルールが存在します。これは聞き間違いによる事故を防ぐための基本的な安全策ですが、いざ空の上を想定した極限状態では、座学で完璧に暗記したはずの定型文も容易には浮かんできません。耳から入る情報を脳で処理し、機体を操りながら口に出すというマルチタスクの難しさを、大下さんは身をもって体感することになったのでしょう。
全4回にわたるフライト訓練を終えた大下さんの表情には、悔しさとともに、確かな成長への意欲が滲んでいました。「もっと無線の勉強を強化しなければならない」と力強く語る彼の姿からは、自身の課題を明確に見据えたプロ意識の芽生えが感じられます。SNS上でも、こうした高校生たちの真剣な取り組みに対し、「夢に向かって努力する姿が眩しい」「空の安全を守る未来のヒーローを応援したい」といった感動と称賛の声が数多く寄せられています。
筆者の個人的な見解としては、若いうちにこうした「思い通りにいかない経験」を積むことこそが、真のプロフェッショナルを育てるのだと確信しています。教科書を読み込むだけでは決して得られない、現場の空気感やプレッシャーを知ることで、知識は本当の技術へと昇華されるはずです。2019年07月08日のこの経験は、彼が将来、何百人もの命を預かる機長として操縦席に座るための、かけがえのないマイルストーンになるに違いありません。
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