アメリカ経済の根幹を揺るがしかねない重大な局面において、大きな進展が見られました。2019年07月22日、トランプ大統領と与野党の議会指導部は、連邦政府の借入限度額を定める「債務上限」の引き上げと、今後2年間で3200億ドルもの歳出を上積みする予算案で正式に合意したのです。この決定により、世界経済が最も恐れていた米国債のデフォルト(債務不履行)という最悪のシナリオは、ひとまず回避される見通しとなりました。
ここで注目すべき「債務上限」とは、政府が法律で認められた借金の上限額を指します。もしこの枠が引き上げられなければ、政府は新たな資金調達ができず、公務員への給与支払いや国債の利払いなどが滞ってしまうのです。今回の合意は、こうした致命的な事態を防ぐ防波堤となりました。SNS上では「ひとまず安心した」という安堵の声が広がる一方で、「借金に頼る体質が加速するだけではないか」といった将来への不安を吐露する意見も目立っています。
異例の財政悪化がもたらす1兆ドルの赤字決着
今回の合意によって、米国債の増発は避けられない情勢となり、年間の財政赤字が1兆ドルという天文学的な数字を突破することは確実視されています。景気が拡大局面にある時期に、これほどまでに財政状況が悪化するのは歴史的に見ても極めて異例の事態と言わざるを得ません。通常、好景気の時期は税収が増えるため赤字は縮小するものですが、今回はそのセオリーが通用しない特殊な状況に陥っていることが浮き彫りになりました。
背景には、2020年に控えた次期大統領選挙を見据えた政治的な思惑が強く働いています。与野党ともに有権者へのアピールを優先し、国防費や公共事業といった政府の支出を拡大させる道を選んだ形です。現在、連邦政府の債務残高はすでに22兆ドルに達しており、たとえ低金利が続いている状況であっても、積み上がった借金の利子を支払う「利払い費」の負担は、じわじわと国家財政を圧迫し続けていくことでしょう。
編集者の視点から言わせていただければ、目先の混乱を避けるための「妥協」が、将来の世代に巨大なツケを回している現状には強い危惧を覚えます。市場の安定は歓迎すべきことですが、際限のない債務の膨張は、いつか米国債の信認そのものを失墜させるリスクを孕んでいます。選挙戦を優先する政治の論理が、健全な財政運営という経済の基本原則を飲み込んでしまった今回の合意は、後世に大きな課題を残す分岐点となるのかもしれません。
コメント