「日本鋳鍛鋼」が、2020年3月末をもって自主廃業する方針を固めました。北九州市に拠点を置くこのプラント製品メーカーは、2019年5月の取締役会でこの苦渋の決断を下したといいます。かつては鉄鋼業界の巨塔である新日本製鉄(現在の日本製鉄)グループと三菱製鋼の共同出資により、1970年に設立された老舗企業です。そのニュースは、日本のモノづくり産業、特に重厚長大産業の構造的な課題を浮き彫りにするものとして、関係者の間で大きな衝撃をもって受け止められていますでしょう。
同社が自主廃業という道を選んだ主な理由は、業績の不振にあります。特に発電プラント向け部材が主力製品であったため、昨今のエネルギー政策の転換が直接的な打撃となりました。石炭火力発電の縮小基調、そして原子力設備の小型化という流れの中で、同社の製品は競争力を発揮することが難しくなっています。「中長期的な業績回復も厳しい」というのが、会社側の判断なのです。これは、エネルギーを取り巻く世界的なトレンドが、国内の特定産業に与える影響の大きさを物語っています。
日本鋳鍛鋼は、設立当初は鉄鋼プラント向けの製品を製造していましたが、やがて発電設備のタービン部材や原子炉構造物といった分野に注力し、技術を磨いてきました。特に2009年3月期には売上高335億円というピークを記録しており、その技術力と市場での存在感は確かなものであったといえるでしょう。しかし、近年は受注が減少し、2018年3月期の売上高は173億円にまで落ち込んでいます。さらに、2019年3月期も2期連続で最終赤字となる見込みで、経営環境の厳しさが伺えます。
この自主廃業の方針決定を受け、同社はすでに取引先や従業員に対し、解散の通知を開始しているとのことです。また、新規の受注も停止している状況です。この一連の動きは、特定の分野に特化してきた老舗企業の歴史に幕を下ろすだけでなく、そこで培われてきた高い技術力やノウハウが散逸してしまうのではないかという懸念を抱かせます。企業の栄枯盛衰は世の常とはいえ、日本の基幹産業を支えてきた企業の撤退は、日本の産業構造の変革期を象徴しているのかもしれません。
SNS上ではこのニュースに対し、「また一つのモノづくりの灯が消えてしまうのか」「技術継承はどうなるのだろうか」「石炭火力や原発のマーケット縮小は予想されていたことだが、これほど早く影響が出るとは」といった、驚きや惜しむ声が多く寄せられています。一方で、「市場の変化に適応できなかった結果であり、これもまた時代の流れ」と、冷静に受け止める意見も見受けられました。この出来事は、私たちに日本の製造業が直面する構造的な課題、特に脱炭素社会への移行期における産業転換の難しさを改めて突きつけているといえるでしょう。
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