🔥 激震のスルガ銀行、不正融資「1兆円」開示の覚悟と新体制の船出 〜株主総会の怒号、金融庁との攻防、そして再建への道筋〜

2019年6月26日、投資用不動産を巡る不正融資問題に揺れるスルガ銀行は、静岡県沼津市で定時株主総会を開催しました。会場には500名を超える株主が詰めかけ、怒号が飛び交う異例の展開となりました。不正の全容解明に取り組んできた経営陣は、この総会で新たな経営体制の承認を得ましたが、その背景には、不正やその疑いのある融資が「1兆円」規模に達するという衝撃の事実と、それを全て開示しようとする覚悟、そして信用不安を懸念する金融庁との緊迫したやり取りがあったことが明らかになっています。

不正融資問題が表面化する直前の2018年1月には2,500円を超えていた同行の株価は、現在300円台へと低迷し、株主の不満は頂点に達していました。「株主を馬鹿にするな」「聞こえない、黙れ」といった激しいヤジが飛び交う中で、有国三知男社長は冒頭で深く頭を下げ、一連の不正融資について謝罪の意を表明しました。しかし、有国氏の引責辞任を求める声はやまず、同氏は「新体制のもとで経営の継続性も大切です。引き続き責任を担わせていただきたい」と、経営続投への理解を求めざるを得ませんでした。総会は実に3時間22分にもわたり、会場の緊迫した雰囲気を物語っています。

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デジタル鑑識で暴かれた「不正融資1兆円」の全容

この総会でおよそ2カ月前に、再建に向けた重要な作業、すなわち不正融資の全容解明が最終段階を迎えていました。スルガ銀行は、審査書類の改ざんや契約書の偽造などの不正行為を炙り出すため、シェアハウス関連を含む投資用不動産向け融資、約3.8万件、総額1.8兆円のすべてを対象に「デジタル鑑識」という手法を用いた徹底的な調査を実施していたのです。これは、電子データから不正の痕跡を見つけ出す、高度な専門技術を用いた調査です。その結果、明確な不正行為があったと認定された融資は7,813件、金額にして5,537億円分に上りました。さらに、改ざんや偽造などの「疑いがある案件」を合わせると、9,388件、6,401億円にも膨れ上がります。

さらに問題となったのは、この全件調査と並行して行われた「付随的調査」の結果でした。スルガ銀行は、投資用不動産向け融資の条件として、物件価格の1割を借り入れ希望者の自己資金で賄うことを定めていました。しかし、主な顧客である中堅の会社員にとって、数千万円をすぐに用意するのは困難です。そこで、融資実行の直前に、不動産業者が借り入れ希望者の預金口座へ1割相当の資金を一時的に振り込み、融資が実行された後に回収するという「見せ金」の手口が疑われました。「見せ金」とは、融資の形式的な条件を満たすために一時的に使われる資金のことで、実質的な自己資金ではないにもかかわらず、融資審査を通過させる目的で使用されたと推定されます。

この付随的調査では、不正行為だと断定はできないものの、疑わしい融資が4,000件、4,300億円分も判明したのです。もし、これらの不正が疑われる融資を、全件調査で明らかになった明白な不正融資と合算すれば、その規模はついに「1兆円」に達してしまいます。一見すると明白な不正とは言い切れないこの付随的調査の結果ですが、物件の売買契約書を水増しするなど、他の不正行為と一体となっている可能性も高く、その開示の是非について、スルガ銀行内だけでなく、監督官庁である金融庁を交えた激しい議論が繰り広げられたのです。

「隠す方がリスク」金融庁を説得し開示に踏み切った経営陣の覚悟

関係者の脳裏には、2018年9月に第三者委員会の報告書が公表された際の苦い経験がよぎっていました。壮絶なパワーハラスメントや過酷なノルマの実態が詳細に記されたことで、個人預金の流出が加速し、この1年間で預金は9,000億円も減少しました。「不正融資1兆円」という情報が独り歩きすれば、再び深刻な信用不安を引き起こしかねないという懸念は大きかったことでしょう。金融庁もこの点を重視し、開示には慎重な姿勢を見せていました。

しかし、最終的に「あとで『隠していた』と暴かれる方が、より大きなリスクになる」と判断したのは、有国社長らスルガ銀行の経営陣でした。過去の不正の「膿(うみ)」を全て出し切り、顧客や市場からの信頼回復を最優先する道を選んだのです。経営陣は、信用不安を危惧する金融庁を説得し、不正が疑われる融資を含めた「1兆円規模」の調査結果の開示を断行しました。この一連の動きは、SNS上でも「不正の規模に言葉を失う」「正直な開示は評価できるが、再建は茨の道だ」といった様々な反響を呼び、世間の注目度の高さが伺えました。

この日、株主総会で承認された新経営体制では、有国氏を除く5名の取締役が退任し、新たに6名が就任しました。副社長には佐川急便の親会社であるSGホールディングスで取締役を務めた嵯峨行介氏が就き、社外取締役が過半数となる4人に増えるなど、企業統治の強化を目指す姿勢が示されています。スルガ銀行はまず過去の清算を優先しましたが、真の再建はこれからです。投資用不動産向け融資に過度に依存してきたこれまでの事業モデルをどのように転換していくのか、そして統治不全の象徴であった創業家との関係をいかに断ち切るのか、課題は山積しています。新経営陣の表情は固く、その前途は決して平坦ではないでしょう。

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