2018年9月4日、非常に強い勢力で近畿地方を襲った台風21号により、関西国際空港(関空)はかつてない窮地に立たされました。高潮による浸水やタンカーの衝突事故が重なり、滑走路が閉鎖されただけでなく、約8000人もの人々が孤立するという未曾有の事態に見舞われたのです。あれからちょうど1年が経過した2019年9月4日現在、空港運営会社は当時の反省を糧に、劇的な進化を遂げようとしています。
当時、最も大きな課題として浮き彫りになったのが、言葉の壁による情報格差でした。異国の地で孤立した訪日外国人観光客にとって、日本語によるアナウンスは不安を増幅させる要因にしかなりません。この教訓を活かし、運営会社は多言語での情報発信能力を大幅に強化しました。特に注目すべきは、日本語、英語、中国語、韓国語の4カ国語を即座に放送できる高性能な「拡声装置」の増強配備です。
さらに、個々の旅客が抱えるニーズを可視化するための「質問カード」の導入も始まりました。これは、体調不良やアレルギー、移動手段の希望などをアイコンや多言語で確認できるツールです。災害時に情報が届きにくい「災害弱者(自力で情報を得たり移動したりすることが困難な人々)」への配慮として、非常に画期的な試みだと言えるでしょう。SNS上では「昨年の混乱を思えば大きな前進」と期待の声が上がる一方、「いざという時にスタッフが使いこなせるかが鍵」といった冷静な意見も見られます。
私個人の見解としては、ハード面の整備はもちろん重要ですが、こうした多言語ツールが「お守り」にならないよう、現場での継続的な訓練が不可欠だと感じています。空港という日本の玄関口において、テクノロジーとホスピタリティが融合した防災対策は、今後の日本の観光立国としての信頼を左右するはずです。災害を未然に防ぐことは難しくとも、その後の対応で安心を提供できる体制こそが、今の関空には求められているのではないでしょうか。
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