東南アジアの主要6カ国における2019年9月の新車販売台数が発表され、前年同月比で1%増となる28万3241台を記録しました。実に4カ月ぶりとなるプラス成長に、市場では安堵の声が広がっています。SNS上でも「東南アジアの勢いはまだ衰えていない」といった期待の声が上がる一方で、国ごとに明暗がはっきりと分かれる結果となりました。
今回の全体的な押し上げに最も貢献したのは、43%増という驚異的な伸びを見せたマレーシアです。同国では2018年に消費税(GST)が廃止され、その後に「売上・サービス税(SST)」が導入された影響で、前年の販売が大きく落ち込んでいました。いわゆる「税制改正」に伴う反動が、2019年9月の劇的な回復に繋がったと言えるでしょう。
マレーシアの好調を支えたのは、国民車メーカーと呼ばれる「プロドゥア」や「プロトン」です。これらは政府が自国の産業を守るために育成したメーカーを指し、圧倒的なシェアを誇ります。2019年9月は生産体制の正常化も重なり、販売台数を大幅に伸ばしました。一方、ベトナムも11%増と5カ月連続で前年を上回り、非常にタフな成長を続けています。
最大市場タイの苦境と、揺れるインドネシアの行方
明るいニュースの裏で、東南アジア最大級の市場であるタイには暗雲が立ち込めています。2019年9月の販売台数は14%減の7万6195台となり、2019年で最大の落ち込みを記録しました。輸出の停滞や農産物価格の下落といった「複合的要因」が、人々の買い控えを引き起こしています。将来の生活への不安が、高額な新車購入にブレーキをかけているのです。
同じく巨大市場のインドネシアも、0.4%減とわずかに届かない状況が続いています。主要な輸出品である石炭などの価格低迷が響いており、通年の目標も下方修正を余儀なくされました。日系メーカーの幹部からは、人々の「購買力」、つまり実際に物を買うためのお金が十分に回っていないことを危惧する声も上がっており、予断を許さない状況です。
私は、この結果は単なる景気循環ではなく、東南アジア市場が成熟期に向けた踊り場にあると考えています。これまでのような右肩上がりの成長ではなく、これからは各国の経済政策や産業構造の強さが試される時代になるでしょう。2019年通年での過去最高更新は厳しい情勢ですが、メーカー各社が新型車でどう巻き返すのか、その手腕に注目が集まります。
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