東南アジアのデトロイトとも称されるタイの自動車産業が、現在大きな正念場を迎えています。2019年9月26日の最新発表によれば、タイ工業連盟(FTI)は8月の国内自動車生産台数が前年同月と比較して8%減少したことを明らかにしました。具体的な数字を見ると16万6361台にとどまっており、これで4カ月連続の前年割れという厳しい現実が突きつけられています。
この失速の背景には、深刻化する米中貿易摩擦が影を落としています。世界的な景気減速の影響を受け、これまでタイの経済を支えてきた輸出向け生産が14%も落ち込みました。輸出の不振を国内需要でカバーしたいところですが、現実は甘くありません。国内向け生産も2%の微減となっており、内需の柱である自動車ローンの審査が厳格化されたことが、消費者の購買意欲に冷水を浴びせています。
専門的な視点で見ると、この「自動車ローン引き締め」とは、金融機関が貸し倒れのリスクを避けるために融資の基準を上げ、審査を通りにくくすることを指します。SNS上でも「新車が欲しくてもローンが通らない」「景気が悪い実感が強まってきた」といった悲痛な声が広がっており、国民の生活実感としても自動車が手に届きにくい存在になりつつあるようです。
2019年1月から8月までの累計生産台数は140万3153台となり、前年同期を1%下回る水準まで後退しました。FTIは2019年の年間目標を215万台として据え置いていますが、今後の状況次第では下方修正も免れないでしょう。広報担当のスラポン氏も、世界的な生産低迷の波がタイにも押し寄せていることに強い警戒感を示しており、事態の長期化が懸念されます。
私個人の見解としては、タイの自動車産業は今、単なる景気サイクルの一環ではなく、構造的な変革期に立たされていると感じます。貿易摩擦という外部要因はどうすることもできませんが、国内のローン規制がこれほどまでに響くのは、裏を返せば消費者の家計が脆弱である証拠かもしれません。今は数字の推移を注視しつつ、製造現場の底力に期待したい局面です。
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