2019年10月01日の消費税率引き上げが目前に迫る中、地方の中小零細企業では対応の遅れが目立っています。特に頭を悩ませているのが、今回から新しく導入される「軽減税率」への対応と、政府が推進する「キャッシュレス決済」によるポイント還元制度です。日々の業務に追われる店主たちにとって、これら複雑な仕組みへの移行は決して容易なことではありません。
2019年09月06日に静岡商工会議所で開催された相談会では、長年手書き伝票を愛用してきた茶卸売業の経営者が、ついにキャッシュレス導入を決断したというエピソードもありました。このように「時代の変化」を感じて動き出す方がいる一方で、多くの地方店主からは、決済手数料の負担や操作の難しさに対する不安の声が根強く上がっているのが現状です。
軽減税率とキャッシュレス化の壁!地方が抱える「手数料」の悩み
そもそも「軽減税率」とは、生活必需品などの税率を8%に据え置く制度ですが、これに対応するためにはレジシステムの改修や入れ替えが不可欠です。しかし、2019年04月から07月にかけて松江商工会議所が行った調査によれば、対策が必要な事業者のうち4割以上が「未着手」と回答しており、準備の遅れが浮き彫りになっています。
SNS上でも「どのお店が8%で、どこが10%なのか分かりにくい」といった消費者の困惑が見られますが、それは店舗側も同じです。特に地方の商店街では、クレジットカードなどのキャッシュレス決済を導入したくても、売上から引かれる「決済手数料」が経営を圧迫することを危惧しています。利益率の低い生鮮食品を扱う店ほど、その悩みは深刻でしょう。
自治体も手をこまねいているわけではありません。例えば、宮城県仙台市では2019年08月から09月にかけて、キャッシュレス利用で商品券が当たるキャンペーンを実施しました。兵庫県神戸市でも楽天ペイメントと連携した実証実験を行うなど、機運醸成に必死です。群馬県高崎市のように、レジ導入費用の自己負担分を独自に補助する手厚い自治体も現れています。
景気減速を防げるか?プレミアム付商品券と企業の生き残り戦略
増税による買い控え、いわゆる「消費冷え込み」への対策として注目されているのが「プレミアム付商品券」です。山形県三川町では、プレミアム率を従来の10%から15%に引き上げ、2019年度は7,000冊を発行しました。家計を助ける施策として期待される一方で、静岡県熱海市のように申請が想定を下回り、期間を延長して周知に励むケースも見られます。
企業側も必死の工夫を凝らしています。長野県諏訪市のタケダストアーでは、2019年10月から独自の電子マネーを活用し、その場で5%分を還元する実質的な値引き戦略を打ち出しました。また、山梨県のスーパー「オギノ」が2019年06月に減資を行ったように、税制優遇や国の支援を受けやすくするための組織改編に踏み切る動きも各地で相次いでいます。
私個人の見解としては、今回の増税対応は単なる「税率変更」ではなく、地方経済がデジタル化へ舵を切るための「産みの苦しみ」であると感じます。制度の複雑さが混乱を招いている点は否めませんが、この機会を地域のDX(デジタルトランスフォーメーション)の足掛かりにできるかが、今後の地方創生の鍵を握るのではないでしょうか。
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