🔥【2020年卒採用難】中小企業が「新卒頼み」から脱却!採用倍率8.62倍の壁を破る「定着しやすい組織づくり」とクラウドソーシング戦略

2020年3月卒業予定の大学生・大学院生を対象とした新卒採用市場は、中小企業にとって極めて厳しい「売り手市場」となっています。全企業を合わせた求人倍率は1.83倍でしたが、従業員300人未満の中小企業に限ると、その数字はなんと8.62倍に跳ね上がっているのです。これは、学生1人に対して8社以上の求人があることを意味しており、大企業が採用を強化したり、最近話題となっている「通年採用」に移行したりすると、採用活動にかけられる人手やコストが限られる中小企業へ、さらに大きなシワ寄せが及びかねない状況が鮮明になっています。

こうした採用環境の激化を受け、新しい人材の確保だけに依存するのではなく、社外への業務委託や、社員が長く働き続けたくなるような組織へと会社自体を変革しようという動きが、中小企業の間で広がりを見せているのです。特に目立つのが、必要な業務を外部の専門家に任せる「クラウドソーシング」を活用した事例でしょう。

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採用難を乗り越える!外部の知恵を活用する「クラウドソーシング」

日本茶の包装パッケージを製造する吉村(東京都品川区)では、この採用の課題を乗り越えるため、2017年からクラウドソーシングサービスを活用しています。クラウドソーシングとは、インターネットを通じて不特定多数の個人に業務を委託する仕組みのことで、吉村では筆字デザインのコンペを月2回開催し、全国から集まる50〜100件の応募作から5点ほどを採用しているそうです。1点あたり1万〜2万円を報酬として支払うこの仕組みによって、同社の商品開発責任者である大根実氏は「イメージしていなかったデザインがそろえられた」と、その効果に満足感を示しています。創業1932年の同社は、全国の茶舗向け包装で9割のシェアを誇る老舗ですが、社員230人の中で筆文字デザイナーはわずか2人しかいませんでした。以前は派遣社員の採用も行っていましたが、継続的な人材確保の難しさに直面し、クラウドソーシングへと舵を切った背景があるのです。

しかし、全ての業務を外部に委託できるわけではありません。都内で金属加工を手がけるある中小企業の担当者が「大手の内定が出る6月ごろに応募が集まる」と語るように、中小企業は依然として新卒採用のタイミングや大手企業の動向に左右されやすい状況にあります。そこで、新しい人材の採用に苦戦しても会社を成長させるためのもう一つの鍵として、「社員が定着しやすい組織づくり」が注目されているのです。

離職率30%の壁!社員の「本音」を見える化するエンプロイーテック

社員の定着率を上げる取り組みは、特に離職率が高い業界で緊急の課題となっています。例えば、厚生労働省の2017年の調査によると、宿泊業・飲食サービス業の離職率は30%と全産業の中で最も高く、これは過去5年間で3ポイントも上昇しています。転職に追い風が吹く現在の売り手市場では、職場に不満を感じた若者がすぐに辞めてしまうケースが増えており、焼肉店を都内で16店舗展開するカルネヴァーレ(東京都目黒区)も、社員の早期離職に悩まされていました。人事総務部の細野博雅部長も「原因もわからなかった」と当時の状況を語っています。

この課題を解決するため、同社が2018年12月に初めて導入したのが「エンプロイーテック(Employee Tech)」という手法を用いた調査です。エンプロイーテックとは、従業員(Employee)と技術(Technology)を組み合わせた造語で、IT技術を用いて社員の意識や状況を可視化し、組織改善に役立てる取り組みを指します。カルネヴァーレでは「他の人に自分が働いている会社を勧めたいか」など15問ほどの質問に回答してもらい、点数に仕事内容や労働時間などの項目を加味して評価しました。その結果、会社の推奨度が低い人は、労働時間の長さや給与に不満を感じていることが明らかになったのです。

この調査結果に基づき、業務報告の仕方や時間のルールを改善したところ、社員からは「仕事がやりやすくなった」という好意的な声が上がり始めています。調査手法を開発したエモーションテック(東京都千代田区)の今西良光社長は、仕事への満足度が上がれば、それが質の高い接客につながり、最終的に顧客満足度や収益アップへと繋がる好循環が生まれると考えています。

鍵は「愛着心とやる気の可視化」!エンゲージメント向上の重要性

社員が長く活躍してくれる組織を作る上で、近年特に注目されているのが「エンゲージメント」という概念です。これは、会社に対する愛着心や、仕事へのやる気を見える化し、離職の防止や生産性の向上を目指す試みです。人材コンサルティングの米ギャラップが2017年に発表した世界各国の社員の士気に関する調査結果は、私たち日本人にとって非常に衝撃的です。

この調査によると、日本の「熱意あふれる社員」の割合はわずか6%に過ぎず、米国の32%を大きく下回っています。調査対象となった139カ国の中で、日本は132位という極めて低い水準に位置づけられてしまったのです。さらに、日本には「周囲に不満をまき散らしている無気力な社員」が24%、「やる気のない社員」も70%を超えているという深刻な現実が示されました。このデータは、単に給与や福利厚生などの待遇面を充実させるだけでは、社員のエンゲージメントを高めるのは難しいということを示唆しているでしょう。エンゲージメントを高めるには、上司や同僚とのチームワークを強化し、社員が自分の成長を感じられる機会を提供することなどが効果的であると指摘されています。

新卒採用が厳しくなるなか、ジンジブ(東京都港区)のように、高校生の新卒採用を支援する動きも出てきています。同社には「大卒採用の目標数を確保できず、高卒の採用を始めたい」という問い合わせが増加しており、運営する高卒向け求人情報サイト「ジョブドラフト」の掲載申し込み数は、2020年卒向けで3年前の2.5倍に伸びているとのことです。人口減少がさらに加速する日本において、今後は中小企業だけでなく、大手企業も必要な人材を確保できなくなる時代が来るかもしれません。採用だけに頼らず、社員のやる気や会社への愛着を育む組織へと変わることが、企業の持続的な成長を左右する最も重要な要素になるでしょう。

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