世界を揺るがす巨大な経済イベントが、いよいよ現実味を帯びてきました。サウジアラビアの国営石油会社であるサウジアラムコが、2019年12月にも株式を新規公開する見通しです。まず自国内の証券取引所に上場し、その調達額は2014年にアリババ集団が記録した約250億ドルを塗り替え、史上最大規模に達する可能性を秘めています。
このプロジェクトは、サウジの次世代を担うムハンマド皇太子が主導する、産業の多様化を目指した国家改革の要といえるでしょう。インターネット上でも「一企業の規模を超えている」「ついにオイルマネーの核心が市場に出るのか」と、その圧倒的な存在感に驚きを隠せない声が次々と上がっており、世界中の投資家が固唾を呑んで推移を見守っている状況です。
国内上場を成功へ導く異例のボーナスと優遇策
サウジ政府は、この歴史的な上場(IPO)を確実に成功させるため、通常では考えられない驚きの支援策を打ち出しました。IPOとは「Initial Public Offering」の略で、未上場企業が初めて一般の投資家に株式を公開することを指します。今回の目玉は、株を180日間継続して保有した自国民に対し、追加で株式を無償提供する「ボーナス株」制度の導入です。
さらに、サウジアラビア国内の銀行は、投資家が株を購入するための資金を低い利息で貸し出す優遇融資を実施します。有力な王族たちにも一定額の購入が促されていると伝えられており、国を挙げたバックアップ体制はまさに異例と言わざるを得ません。年間で750億ドルという巨額の配当計画も示されており、まさに至れり尽くせりの内容で投資意欲を刺激しています。
圧倒的な収益力と市場が抱く懸念の正体
アラムコの収益力は、もはや他の企業の追随を許さないレベルにあります。2018年12月31日までの年間純利益は、あの米アップルの約2倍に相当する1110億ドルを記録しました。1バレルあたりわずか2.8ドルという驚異的なコストで石油を生産できる強みは、欧米の石油メジャーや米国のシェール企業に対しても圧倒的な優位性を誇っているのが現状です。
しかし、手放しでの楽観視は禁物かもしれません。ムハンマド皇太子は企業価値を「2兆ドル」と見積もっていますが、市場では「1兆5000億ドル程度が妥当」との冷静な分析が優勢です。世界経済の減速による原油価格の低迷に加え、国営企業ゆえの「不透明さ」が懸念材料となっています。政府の政策が優先され、一般株主の利益が損なわれるリスクを、海外投資家は敏感に感じ取っています。
今回の国内上場は、2020年以降に予定されている海外上場への重要な試金石となるでしょう。欧米の投資家が慎重な姿勢を見せる一方で、中国の政府系ファンドなどが巨額投資を検討しているとの動きもあります。私は、この上場が単なる資金調達ではなく、世界のエネルギー覇権とマネーフローの勢力図を塗り替える、歴史的な転換点になると確信しています。
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