米中歩み寄りで世界株高!2019年11月の強気相場に潜む「金利上昇」の罠と市場のゆらぎ

2019年11月09日、金融市場は米中貿易交渉の進展を期待し、熱狂と警戒が入り混じる局面に立たされています。2019年11月07日の米国市場では、代表的な株価指数であるダウ工業株30種平均が史上最高値を塗り替えました。これに呼応するように、翌2019年11月08日の東京市場でも日経平均株価が年初来高値を更新し続けるなど、投資家のリスク志向が急激に強まっています。

SNS上では「ようやく米中対立に光が見えた」「乗り遅れるな」といったポジティブな声が溢れる一方で、あまりに急な株価上昇に対して「実体経済が追いついていないのでは」という慎重な意見も目立ち始めています。現在の市場を牽引しているのは、米中両国が互いにかけている関税を段階的に撤廃するという期待感です。このムードにより、資金は安全資産からリスク資産へと大移動を始めています。

ここで注目すべきは「長期金利」の急騰です。経済の体温計とも呼ばれる米10年物国債利回りは、2019年11月07日に約3カ月ぶりとなる1.9%台まで上昇しました。1日の上昇幅としては今年最大を記録しており、これまで安全牌として買われていた国債が売られ、金利が押し上げられている状況です。この金利上昇は日米の格差を広げ、為替市場では1ドル=109円台半ばという5カ月ぶりの円安水準をもたらしました。

しかし、この「期待先行」の相場には危うさが漂います。金利の上昇に悲鳴を上げたのが不動産投資信託のREIT(リート)市場です。REITとは、多くの投資家から集めた資金で不動産を運用し、その賃料収入などを分配する仕組みですが、利回りの高さが魅力の商品であるため、国債などの金利が上がると相対的な魅力が低下して売られやすくなります。2019年11月08日の東証REIT指数は、一時3%安と急落を見せました。

私は、現在の市場環境を「薄氷の上でのダンス」だと考えています。メディア編集者の視点で見れば、マッコーリーキャピタル証券の増沢氏が指摘する「持たざるリスク(買い遅れて利益を逃す恐怖)」が投資家を突き動かしている現状は、多分に感情的です。企業の業績予測が2期連続の減益見通しであるにもかかわらず株価だけが先行して踊る姿は、健全な成長とは言い難い側面があるからです。

実際に、ナバロ米大統領補佐官が「関税撤廃の合意はまだない」と発言しただけで、日経平均の上げ幅が瞬時に縮小した事実は、この相場の脆さを物語っています。ピクテ投信投資顧問の松元氏が説くように、具体的な交渉結果や企業の業績回復という裏付けがない限り、ここからの続伸には相当なハードルがあるでしょう。今は高揚感に流されず、米中からの次の一報を冷静に見極める忍耐強さが求められる局面です。

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