北陸地方を中心に展開する食品スーパーのアルビスが、2019年10月31日に衝撃的な経営方針を打ち出しました。政府が主導するキャッシュレス・ポイント還元制度の影響を受け、自社の利益を削ってでも4億円規模の販売促進費を投じるというのです。これは、2020年3月期における顧客流出を防ぐための、まさに「背水の陣」とも言える決断でしょう。
この異例の事態の背景には、政府が定めた中小企業支援の枠組みが存在します。資本金などの条件を満たした店舗では、キャッシュレス決済時に国から還元原資が補助されますが、規模の大きいアルビスはこの対象から外れています。一方で、近隣に店を構える競合他社が「中小企業」扱いとして補助を受けている現状があり、競争条件の格差が浮き彫りとなっているのです。
SNS上では、このニュースに対して「大手だから損をするのは不公平だ」「企業努力で還元してくれるアルビスを応援したい」といった声が相次いでいます。消費者の立場からは嬉しい還元策ですが、企業間の公平性を問う意見も目立ちます。編集者の視点で見ても、国の施策が民間企業の健全な競争を歪めてしまう今の構図には、強い危機感を抱かざるを得ません。
熾烈な地域間競争と今後の展望
アルビスの池田和男社長は、2019年4月から9月期の決算発表の場で、現在の市場環境を「不公平ではないか」と厳しく指摘しました。しかし、指をくわえて見ているわけにはいきません。同社は自社の資金を投入して独自のポイント還元や値下げを断行し、特に年間で最も売り上げが伸びる12月の商戦期に向けて、全力で顧客を繋ぎ止める構えを見せています。
同時に発表された2019年4月〜9月期の連結決算は、純利益が前年同期比で69%減の3億5100万円という厳しい数字となりました。これは今春に稼働した精肉加工センターでのロスなど、追加コストが重なったことも影響しています。ここで言う「ロス」とは、商品の廃棄や製造過程での無駄を指し、スーパーの経営効率を左右する極めて重要な指標と言えるでしょう。
売上高自体は5%増の430億円と堅調に推移しているだけに、この局面をどう乗り切るかが今後の鍵を握ります。政府の補助金という追い風を受ける競合に対し、アルビスがそのブランド力と独自の還元策でどこまで対抗できるのか、北陸の流通業界は今、大きな転換点を迎えています。地域密着型スーパーとしての意地を見せる戦いは、これからが本番です。
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