LIXILが231億円の最終黒字へ!消費増税の駆け込み需要で業績回復も、トップ解任騒動が残した「経営改革の遅れ」という火種

住宅設備大手のLIXILグループが2019年10月31日に発表した2019年4月〜9月期の連結決算は、最終損益が231億円の黒字という結果になりました。前年同期が86億円の赤字だったことを踏まえれば、数字の上では劇的なV字回復を遂げたと言えるでしょう。しかし、この明るいニュースの裏側で、同社幹部の表情には険しさが滲んでいます。

好調な決算を支えたのは、2019年10月の消費増税を前にした駆け込み需要です。家づくりを急ぐ層が増えたことで、国内向けの建材やトイレなどの水回り事業が追い風を受け、売上収益は前年同期比4%増の9,255億円に達しました。本業の儲けを示す「事業利益」も、前年の2.5倍となる344億円を叩き出し、一見すると安泰のように映ります。

スポンサーリンク

「笑顔なき黒字」の背景に潜む、国内外の厳しい市場環境

手放しで喜べない最大の理由は、下期以降の不透明なビジネス環境にあります。主力であるサッシなどの製品は、国内の新設住宅着工件数、つまり新しく建てられる家の数と密接に連動します。2019年7月〜9月期にはこの着工件数が減少に転じており、増税後の反動減が業績を直撃する懸念は拭い去ることができません。

さらに海外市場では、米中貿易摩擦という国際的な荒波が影を落としています。アメリカへの輸出が難しくなった中国メーカーがアジア市場へ攻勢をかけており、競争が激化しているのです。SNS上でも「LIXILの製品は質が高いが、価格競争や地政学リスクをどう乗り越えるのか」といった、今後の収益性を危惧する冷静な意見が目立っています。

お家騒動の代償と、問われるコーポレート・ガバナンス

経営の足かせとなっているのは、外部環境だけではありません。2018年10月に起きた瀬戸欣哉CEOの事実上の解任劇から始まった「トップ人事の混乱」が、収益改革のスピードを著しく削いでしまいました。本来進めるはずだった構造改革が棚上げ状態となった結果、目標とする事業利益率7.5%に対し、現状は4%にとどまっています。

LIXILは同日、ガバナンス(企業統治)の検証結果を公表しました。これは企業が不正を防ぎ、透明性の高い経営を行うための仕組みを指しますが、報告書では創業家への権力集中が「忖度」を生んでいたと厳しく指摘されています。混乱を経て株価は2,000円付近まで戻りましたが、真の信頼回復には、新設されるガバナンス委員会がどこまで実効性を持てるかが鍵となるはずです。

編集者の視点から言えば、一時的な特需による黒字に甘んじることなく、過去のしがらみを断ち切れるかどうかがLIXILの正念場だと感じます。優れた技術力を持つ企業だからこそ、内向きの権力争いではなく、未来を見据えた攻めの経営改革にリソースを集中してほしいものです。投資家や消費者が納得できる「真の復活」を、私たちは注視していく必要があるでしょう。

コメント

タイトルとURLをコピーしました