2019年11月27日現在、私たちの生活を支える物流や製造現場に、静かな変化の波が押し寄せています。12月の国内産業資材価格は「横ばい」との予測が主流ですが、その裏側では世界的な経済減速や日韓関係の緊張、さらには消費増税の影響が複雑に絡み合っています。特に注目すべきは、あらゆる商品の梱包に欠かせない「段ボール原紙」の動向です。ネット通販の拡大で需要は堅調に見えますが、輸出用機械やビールなどの出荷鈍化が、じわじわと業界全体の重荷になりつつあります。
SNS上では「最近、段ボールのゴミが増えた気がするけれど、業界は大変なんだな」「景気のバロメーターが段ボールだなんて意外」といった、実生活と経済指標をリンクさせる声が上がっています。実際、2019年10月の段ボール原紙在庫量は50万6000トンに達しました。これは適正とされる40万トン台を大きく上回る数字です。台風被害による青果物の出荷減少も重なり、供給過剰感は否めません。こうした「荷動き」の停滞は、まさに経済の健康状態を映し出す鏡と言えるでしょう。
リサイクルの壁と価格維持の攻防
原料となる古紙の市場も、かつてない局面を迎えています。世界最大の受け入れ先であった中国が、環境保護を理由に輸入制限を強化したことで、輸出価格は1キロ5円から6円という安値まで下落しました。一方で、国内の製紙各社はリサイクル体制を守るため、18円という基準価格での買い取りを継続しています。このコストの歪みが、経営を圧迫する要因となり得ます。需要家からの値下げ圧力が強まる中、中小メーカーがどこまで現在の価格を死守できるかが、2020年に向けた大きな焦点となるはずです。
ここで言う「市況」とは、市場における商品価格や取引状況のことですが、これが崩れると連鎖的な価格暴落を招く恐れがあります。私は、単なる値下げは一時的な利益を生むかもしれませんが、長期的なリサイクル循環を壊すリスクを孕んでいると感じます。目先の安さだけでなく、日本の優れた古紙回収システムを維持するための「適正価格」を、社会全体で再定義する時期に来ているのではないでしょうか。メーカー側の生産調整による粘り強い姿勢が、今後の市場の安定を左右することになりそうです。
自動車産業の停滞がもたらす波及効果
資材の王様とも言える「熱延鋼板」にも影が差しています。これは鉄鋼を高温で薄く延ばした板状の素材で、自動車や家電に幅広く使われます。しかし、2019年11月には流通価格が下落に転じました。世界各地で自動車の生産が停滞し、部品の輸出が鈍っていることが心理的な冷や水となっています。さらに、住宅着工が消費増税後の反動で盛り上がりに欠けており、塩化ビニール樹脂などの建材需要も振るいません。産業の根幹を支える素材が苦戦している現状は、決して軽視できないサインです。
ネット社会の進展により、チラシなどに使われる印刷用紙の需要回復も見込みにくい状況が続いています。各社は設備の廃棄を進めていますが、皮肉にも輸入品の増加が在庫を押し上げる結果となりました。2019年9月の在庫量は需要の2カ月分にまで膨らんでいます。このように、あらゆる産業資材が「供給過剰」と「需要減」の板挟みにあっています。私たちは今、景気の踊り場に立たされていると言っても過言ではありません。各業界が知恵を絞り、この不透明な時代をどう乗り越えるのか、注視が必要です。
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