日本の建設現場に欠かせない「H形鋼」の在庫状況に、大きな変化の兆しが見えてきました。日本製鉄の製品を取り扱う大手流通業者グループ「ときわ会」が、2019年10月末時点の在庫統計を発表したのです。その内容は、在庫量が9月末と比較して8900トン減少したというものでした。率にして4.7%のマイナスとなり、総在庫は18万2400トンまで絞り込まれています。
この18万トン台という水準は、実に10カ月ぶりの低水準であり、業界内でも注目を集めています。在庫の減少はこれで5カ月連続となっており、供給過剰感があった市場が徐々に引き締まってきたことを物語っているでしょう。そもそもH形鋼とは、断面がアルファベットの「H」の形をした鋼材で、その優れた強度からビルの柱や梁などの構造材として広く活用されています。
SNS上では、このデータを受けて「ようやく需給のバランスが整ってきたのではないか」という安堵の声や、「今後の価格動向に影響するかもしれない」といった建設・建材関係者による鋭い考察が飛び交っています。実際に10月の入庫量を見ると、前月比1.3%減の7万3100トンに抑えられる一方で、出庫量は1.5%増の82000トンと堅調に推移しました。出す量が入る量を上回る、理想的な在庫消化が進んでいます。
建材全体の動きから見る2019年秋の市況トレンド
他の素材データに目を向けると、現在の経済状況がより鮮明に浮かび上がります。2019年9月のセメント国内販売量は、前年同月比4.0%増の約351万トンと好調な滑り出しを見せました。しかし、一方で10月の紙・板紙国内出荷量は7.5%減、9月の伸銅品生産量も8.0%減と、分野によって明暗が分かれています。素材ごとに需要の波が異なる点は、非常に興味深い現象だと言えるでしょう。
筆者の見解としては、今回のH形鋼の在庫減少は、建材流通が健全化に向かっている証左だと捉えています。過剰な在庫は保管コストを増大させ、市場価格の混乱を招く要因となります。長らく続いた19万トン超の状態から脱却したことは、2020年に向けた都市開発やインフラ整備が着実に行われている結果ではないでしょうか。需給が引き締まることで、鋼材価格の安定にも寄与することが期待されます。
国産針葉樹合板の在庫についても、2019年10月は前月比5.7%減の約12万8000立方メートルとなっており、木材市場でも在庫調整が進んでいる様子が伺えます。こうした基礎資材の在庫減は、建設投資が一定の熱量を持って継続している証拠です。現場の「生きた動き」が統計に反映されており、今後の産業界全体の活性化を占う上で、極めて重要な指標となるはずです。
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