令和の時代を迎え、初めての冬が到来しようとしています。静岡県内の百貨店では、2019年11月21日現在、年末恒例の歳暮商戦がいよいよ熱を帯びてまいりました。時代の移り変わりと共に、形式的な贈答文化は縮小の兆しを見せているものの、各店は新たな需要を掘り起こすべく、趣向を凝らした戦略を展開しています。
今年のトレンドは、ズバリ「自分へのご褒美」と「手軽な手土産」です。SNS上でも「お歳暮を贈る習慣はないけれど、美味しそうな限定品は自宅用に欲しい」といった声が多く上がっており、百貨店側もこうした「自分への投資」という消費者心理を敏感に察知しています。もはやお歳暮は、誰かに贈るためだけのものではないようです。
自宅で楽しむ贅沢グルメと、痒い所に手が届く接客サービス
浜松市の遠鉄百貨店では、2019年の目玉として「デリシャスライフ」というグルメ企画を初めて立ち上げました。約80点もの厳選された商品は、お取り寄せ感覚で楽しめるものばかりです。年末年始を自宅で過ごす際に、いつもより少し上質な食卓を囲みたいという「プチ贅沢」ニーズを真っ向から狙い撃ちしており、非常に賢い戦略だと言えるでしょう。
一方で、静岡市の松坂屋静岡店は、贈答品選びに頭を悩ませる方々に寄り添うスタイルを強化しています。新設された「おすすめ品コーナー」や、お品選びサポーターと呼ばれる専門販売員の配置は、まさに百貨店ならではのホスピタリティです。コンシェルジュのように、個別のニーズを汲み取るきめ細やかな対応が、顧客の信頼を勝ち取る鍵となるでしょう。
また、静岡伊勢丹が提案する1,000円台の「手みやげギフト」も注目に値します。これは年末年始の挨拶回りに適した価格帯で、お歳暮を購入する際の「ついで買い」を誘発する仕組みです。客単価の向上を狙う戦略的な品揃えは、実利を求める現代の消費者にとっても、手に取りやすい魅力的な選択肢となっているはずです。
消費増税の壁を越えて。軽減税率が後押しする冬の消費
2019年10月に実施された消費増税の影響が懸念されていましたが、各百貨店の担当者は一様に「現時点では大きな影響はない」と手応えを感じているようです。ここで重要なのが「軽減税率」という制度の存在です。これは、特定の商品の税率を標準の10%ではなく8%に据え置く制度で、酒類を除く多くの飲食料品がその対象となっています。
ビールなどは10%の税率となりますが、百貨店側の見解によれば、贈答品としてのこだわりを持つお客様が、わずか2%の差で品目を変更することは考えにくいとのことです。むしろ、生活必需品ではない「嗜好品」だからこそ、本当に良いものを選びたいという心理が働いているのでしょう。編集部としても、この堅調な動きは静岡の経済にとって明るい材料だと捉えています。
2019年11月下旬から12月上旬にかけて、商戦はまさにピークを迎えます。景気の先行きには不透明な部分もありますが、大切な人を想う気持ちや、一年を頑張った自分を労う心は、決して景気に左右されるものではありません。この冬の消費動向は、私たちがどのような「豊かさ」を求めているのかを占う、大切な指標になるに違いありません。
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