【VR×パワハラ研修】被害者の絶望を「一人称」で体感。NTTや日本能率協会が挑む最新ハラスメント対策の衝撃

職場の空気を一瞬で凍らせるパワーハラスメント。2019年5月に女性活躍・ハラスメント規制法が成立し、企業にはこれまで以上に厳しい防止策が求められています。そんな中、最新テクノロジーであるVR(仮想現実)を駆使した、全く新しいスタイルのハラスメント研修が大きな注目を集めています。

VRとは、専用のゴーグルを装着することで、まるでその場にいるかのような360度の立体的な映像空間を体験できる技術のことです。これまでの座学中心の研修とは異なり、利用者は「被害者」の視点で上司から浴びせられる言葉や圧迫感をリアルに体感できます。この没入感こそが、意識改革の鍵を握っていると言えるでしょう。

日本能率協会マネジメントセンターは、2019年9月にVRと対話を組み合わせた革新的なプログラムを開始しました。体験会に集まった人事担当者からは、「加害者の言い分も理解できてしまうからこそ根が深い」といった、現場のリアルな苦悩が漏れています。客観的な知識だけでなく、当事者の感情に触れることで、議論はより深いものへと進化しています。

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「自分は大丈夫」という過信を打ち砕くVRの視点

NTTラーニングシステムズが2019年9月から提供しているサービスでは、周囲の社員への悪影響まで学べる仕組みが取り入れられました。360度見渡せる映像により、背後で萎縮する同僚の姿まで可視化されるのです。自らの言動が職場全体のパフォーマンスを著しく低下させている現実を、嫌というほど突きつけられる構成になっています。

映像制作を手掛けるジョリーグッドのプログラムでは、上司の「良かれと思って」という善意が、部下にとっては苦痛でしかないという皮肉な構図を描いています。SNSでは「VRで詰められたら精神的にきつそう」「加害者にこそ強制的に体験させるべき」といった声が上がっており、実体験に近いインパクトが予防に繋がると期待されています。

一方で、テクノロジーによる監視も進化を遂げています。FRONTEOが2019年8月に機能を拡充させたAI(人工知能)は、メールの文面からハラスメントの兆候を自動で検知します。膨大なデータを学習したAIがスコア化することで、人間が見落としがちな微かな「SOS」や「攻撃性」を、事前にアラートとして通知することが可能になりました。

2018年度の相談件数が過去最高の8万件を超えた現状を鑑みると、もはや精神論だけで解決できる段階ではありません。私は、こうしたテクノロジーの導入は、単なる教育を超えた「劇薬」になると考えています。被害者の震える視界を一度でも共有すれば、無意識に相手を追い詰めるという過ちは、きっと防げるはずですから。

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