かつては高級なフレンチや専門料理店でしかお目にかかれなかった「ジビエ」が、いまや私たちの日常に身近な外食チェーンへと急速に浸透しています。2019年11月27日現在、鹿やイノシシといった野生鳥獣の食肉を活用する動きが、大手チェーンの間で活発化しているのです。そもそもジビエとは、狩猟によって得られた野生動物の食肉を指すフランス語で、ヨーロッパでは冬のご馳走として古くから親しまれてきた文化です。
その筆頭として注目を集めているのが、人気バーガーチェーンのロッテリアです。彼らは2019年11月29日から、全国約120店舗という広範囲で「ジビエ 鹿肉バーガー」の販売を開始します。パティの6割に贅沢に鹿肉を配合し、さらにソースにまで鹿肉を使用するというこだわりぶりです。実は2019年1月にも限定販売を行っていますが、わずか1ヶ月足らずで完売するほどの大反響を呼び、今回は販売量を1.4倍に増やして勝負に出ています。
SNS上では、このロッテリアの試みに対して「ハンバーガーショップで手軽に鹿肉が食べられるなんて驚き!」「ジビエ特有の臭みがなくて食べやすい」といったポジティブな声が相次いでいます。野性味溢れる味わいを期待する層から、ヘルシーな代替肉を求める層まで、幅広い消費者の関心を惹きつけている様子が伺えるでしょう。これまでは一部の愛好家のものだったジビエが、ついに大衆化の波に乗ったと言っても過言ではありません。
安心・安全の裏付けとなる「国産ジビエ認証制度」の功績
なぜ、一気に外食チェーンでの採用が進んだのでしょうか。その大きな要因となっているのが、農林水産省が2018年5月にスタートさせた「国産ジビエ認証制度」の存在です。これは、野生動物の解体や加工を行う施設に対して、衛生管理の体制などを厳格に審査・認定する仕組みを指します。以前は供給元によって品質にバラつきがあり、大規模なチェーン店が導入するには高いハードルがありましたが、この制度が信頼の証となったのです。
すでに8つの施設がこの認証を取得しており、安定した品質の肉を供給できる体制が整い始めています。統計を見ても、2018年度に加工されたジビエは1887トンに達し、わずか2年前の1.5倍にまで膨らみました。農水省はさらに、2019年度には加工量を2600トンまで引き上げる目標を掲げており、供給側のポテンシャルはますます高まっています。まさに、国の後押しがジビエ普及の「追い風」となっている状況と言えるでしょう。
この流通量の安定を受け、コロワイドが運営する居酒屋「北海道」でも、鹿肉を使った豪華なメニューを展開しています。約50店舗で提供されている「北海うにく盛り」などは、SNS映えするビジュアルも相まって、消費者の認知度向上に一役買っています。編集者の視点から見ても、単なる珍しさだけでなく「確かな品質」が担保されたことが、保守的な日本の食文化にジビエが受け入れられる決定打になったと感じます。
現在、日本フードサービス協会が主催する「ジビエフェア」には400店舗以上が参加しており、今後もその数は増える見込みです。野生鳥獣による農作物被害を防ぐ「害獣対策」としての側面だけでなく、環境に優しく高タンパクな「次世代のグルメ」として、ジビエは日本の外食シーンに定着していくことでしょう。旬の味覚を楽しみながら、社会貢献にもつながるこの新しい食の形を、ぜひ一度体験してみてはいかがでしょうか。
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