新しい商品やサービスを世に送り出すとき、私たちはその斬新さや利便性を懸命にアピールします。消費者はそれらの情報に触れることで胸を膨らませ、購入という行動に至るのです。実際に体験した結果、あらかじめ抱いていたイメージ通りであれば満足し、そうでなければ落胆を感じるという一連の流れは、誰もが経験したことがあるでしょう。
ここでマーケティング担当者が特に意識すべきなのは、事前のプロモーションによって過剰に期待を高めすぎないという調整の妙です。あまりに期待値が跳ね上がってしまうと、提供する価値が追いつかず、かえって顧客の離反を招くリスクがあるからです。2019年12月06日の時点においても、この絶妙なバランス感覚は市場を攻略する上で極めて重要な要素となっています。
しかし、一口に「期待が高い」と言っても、その中身は驚くほど多様です。学術的な視点でも期待の定義は多岐にわたり、アンケートによる数値化や、日々の業務で蓄積される「顧客の声」といった定性情報の分析が欠かせません。こうした情報を詳細に読み解いていくと、消費者がどの程度具体的な言葉で自らの望みを語っているかによって、興味深い顧客像の違いが見えてきます。
具体的な要望を持つ顧客と漠然とした理想を抱く顧客
例えば、クレジットカードの利用動機を分析してみましょう。年会費無料のカードを選ぶ層は、ポイント還元率の高さやマイルの交換先、あるいはサポート体制など、具体的で機能的なメリットを重視する傾向にあります。彼らの満足や不満はサービスの細部に直結しており、企業側としても改善すべきポイントが非常に明確であるという特徴があります。
その一方で、ゴールドカードやプラチナカードといった高額な年会費を支払う層からは、「信頼感がある」「なんとなくステータスを感じる」といった、抽象的なキーワードが多く聞かれます。ここでいう「ステータス」とは、社会的な地位や格付けを指す概念ですが、顧客自身もその価値を具体的な機能としてではなく、漠然としたイメージとして捉えていることが少なくありません。
特筆すべきは、このように漠然とした期待を抱く人々が不満を感じた際、「コストパフォーマンスが悪い」という言葉を吐き捨てるように残す点です。具体的に何が足りないのかを本人も言語化できていないため、企業側は「何に納得していないのか」の本質を見失いやすくなります。顧客が自らのニーズをどこまで具体的に描けているかを知ることは、サービス定着の命運を分けるでしょう。
SNS上でも「高い割にメリットがない」という投稿が散見されますが、これは企業と顧客の認識のズレが表面化したものです。私は、企業側が単に機能を提供するだけでなく、顧客が気づいていない「真の望み」を言語化してあげるプロセスこそが、今の時代には必要だと考えます。曖昧な期待を具体的な満足に変える対話こそが、ブランドの信頼を強固にするはずです。
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