2019年11月20日、脳梗塞の後遺症に苦しむ多くの患者に希望の光をもたらす、画期的な研究成果が発表されました。新潟大学の畠山公大特任助教や金沢雅人准教授らを中心とし、岐阜大学なども加わった共同研究グループが、ラットを用いた実験において、脳梗塞の症状を劇的に回復させる新しい治療手法を発見したのです。この画期的なアプローチは、医療費の削減にも繋がる低コストな治療法の確立に向けた大きな一歩として、各界から熱い視線が注がれています。
細胞をあえて過酷な環境に置くという逆転の発想
今回の研究で最大の鍵となっているのは、血液中の白血球の中に存在する「単核球」と呼ばれる細胞群です。単核球とは、体内に侵入した異物を排除したり、傷ついた組織の修復を助けたりする、免疫の要とも言える重要な働きを持つ細胞です。研究グループは、この単核球を体外へ取り出し、酸素とブドウ糖の濃度を意図的に低下させた過酷な環境下に18時間置きました。その後、この処理を施した単核球を再び体内に戻すという、非常にユニークな手法を採用しています。
通常であれば細胞が深刻なダメージを受けそうな低酸素・低糖という悪条件をあえて与えることで、単核球が本来持っている生命力や修復機能が強く引き出されるのでしょう。実際に、この特別な処理を施した単核球を脳梗塞を発症したラットに投与したところ、損傷を受けた脳の血管や神経細胞において顕著な修復反応が確認されました。傷ついた組織を甘やかすのではなく、あえて厳格なストレスを与えることで細胞のポテンシャルを覚醒させるという発想は、見事としか言いようがありません。
ラットの実験で実証された驚きの回復力
治療効果を検証するために、研究チームは非常に興味深い実験を行いました。ラットを三角コーナーの中に入れ、周囲を見渡す際の左右の振り向き方を観察したのです。脳梗塞を発症したラットは、麻痺などの影響で見る方向が左右のどちらかに大きく偏ってしまいます。しかし、発症から7日目のラットに対して、先述の過酷な環境を経た単核球を投与したところ、驚くべき変化が現れました。投与から21日後には、左右を見る方向の偏りが解消され、ほぼ均等に周囲を見回せるまでに改善したのです。
この画期的なニュースは、英国の権威ある科学誌「サイエンティフィック・リポーツ」の電子版に掲載されただけでなく、SNS上でもたちまち大きな話題を呼んでいます。ソーシャルメディアでは、「長年後遺症に苦しむ家族の希望になるかもしれない」「高額な医療費が払えない人でも受けられる治療法になってほしい」といった、実用化を待ち望む切実な声が次々と投稿されており、世間の関心と期待の高さが伺えるでしょう。
誰もが安価に治療を受けられる未来へ
現在、研究グループは企業と連携し、患者から採血して単核球を分離し、低酸素・低糖状態の処理を施すまでの一連の工程を自動で行える専用装置の開発にすでに取り掛かっています。彼らが目指しているのは、2年後から3年後という非常に近い将来での臨床応用です。高額な新薬の開発に莫大な資金を投じるのではなく、患者自身の細胞を活用し、シンプルな物理的ストレスによって治癒力を高めるこの手法は、医療経済の観点からも非常に高く評価できると私は確信しています。
脳梗塞は命を取り留めたとしても、重篤な麻痺などの後遺症が残りやすく、患者本人だけでなく介護する家族にも身体的、そして経済的に大きな負担を強いる疾患です。誰もが等しく、安価で安全な治療を受けられる社会を実現するために、この日本発の素晴らしい研究が一日も早く実用化され、多くの患者を救う画期的な治療法として世界中に普及することを強く願ってやみません。今後のさらなる研究の進展から、決して目が離せません。
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