2019年11月20日の米国株式市場では、ダウ工業株30種平均が前日比112ドル安の2万7821ドルと続落しました。市場を揺らした主な要因は、米中貿易協議の先行きの不透明感です。ロイター通信が「第1段階の合意は年内には困難」という政府関係者の見解を報じると、一時200ドルを超える下落を見せました。米中の歩み寄りを期待していた投資家には冷や水となった形ですが、同時にエネルギーインフラへの不安も投資家心理に影を落としているようです。
特に注目されているのが、カリフォルニア州の電力大手PG&Eによる「計画停電」の実施です。2019年11月20日、同社は再び一部地域での送電停止を断行しました。これは、過去の甚大な山火事が老朽化した同社の設備から出火したという苦い教訓に基づいた、予防的な措置です。強風や乾燥など、火災リスクが高まる気象条件に合わせて送電を止めるという極端な対策ですが、わずか1ヶ月の間で3度目という頻度に、住民の我慢は限界に達しています。
SNS上では、不意に訪れる暗闇に対して「先進国とは思えない光景だ」という嘆きや、「いつまでこの不便に耐えればいいのか」という怒りの投稿が相次いでいます。テック企業が集まるシリコンバレーは現在のところ停電の対象から外れていますが、中小企業の経営者からは、業務停止による経済損失を懸念する声が噴出しています。2019年10月に実施されたわずか2日間の停電だけで、その経済損失は推定26億ドルに上ると試算されており、看過できない事態です。
大手メディア各紙も、この状況を「カリフォルニアの黄金時代の終わり」と刺激的に報じています。ニューヨーク・タイムズ紙は私たちが知る豊かな州の終焉を嘆き、ウォール・ストリート・ジャーナル紙は「暗黒時代への突入」と表現しました。高騰する家賃、深刻な渋滞、増加するホームレス問題、そして山火事による深刻な大気汚染。そこにインフラの脆弱さが加わり、かつて全米の憧れだった「黄金の州」のブランドは今、大きな転換点を迎えているのではないでしょうか。
アップルもテキサスへ?変わりゆく米経済の勢力図
象徴的な動きを見せたのが、米IT大手のアップルです。2019年11月20日、ティム・クック最高経営責任者はトランプ大統領をテキサス州オースティンの工場に招きました。アップルは同地へ10億ドルもの追加投資を行い、2022年までに5千人を雇用する新社屋を建設する計画を明らかにしています。ここで注目すべきは、カリフォルニアを象徴する企業が、大統領が提唱する「米国製」の拠点として、あえて州外のテキサスを選んだという事実です。
テキサス州への進出は、高い法人税や住居コストに悩む企業の「カリフォルニア脱出」を印象づける出来事といえるでしょう。かつては温暖な気候と優秀な人材が、シリコンバレーという奇跡の地を育んできました。しかし、生活基盤である電力が不安定になり、環境悪化が進む現状では、どんなに魅力的な企業であっても持続的な成長は困難です。米経済を力強く牽引してきたカリフォルニアのモデルは、今まさに深刻な過渡期に直面しているのです。
コメント