関西屈指の人気を誇る遊園地「ひらかたパーク」を巡り、運営会社である京阪レジャーサービスと、その舵取りを担う岡本敏治社長が労働安全衛生法違反の疑いで書類送検されました。大阪労働局が2019年12月09日に行ったこの発表は、レジャー業界のみならず社会全体に大きな波紋を広げています。
事の発端は、同年2019年07月28日に発生した痛ましい事故にまで遡ります。当時28歳の男性アルバイトが、閉園後の午後19時30分頃から着ぐるみを着用してダンスの練習に励んでいました。しかし、わずか20分ほどの活動を終えて控室に戻る際、男性は突如体調不良を訴えて意識を失い、その後帰らぬ人となってしまったのです。
SNS上では「夢を与える場所でこんな悲劇が起きるなんて」「着ぐるみの過酷さを甘く見ていたのではないか」といった、悲しみと憤りの声が渦巻いています。夏の夜とはいえ、全身を覆う衣装での激しい運動がいかに危険であるか、多くの人がその実態を痛感する結果となりました。
ずさんな管理体制が露呈。義務付けられた「衛生管理者」の不足とは
大阪労働局による事故後の調査で、驚くべき事実が判明しました。労働安全衛生法という法律では、働く人々の健康を守るために「衛生管理者」という専門の資格を持つスタッフを配置することが義務付けられています。これは、職場環境の点検や従業員の健康チェックを行う、いわば「職場の健康守り人」です。
同園では遅くとも2018年01月28日の時点で、従業員数が500人を超えていました。法律の規定に基づけば、その日から2週間以内に3人の衛生管理者を選任しなければならなかったのです。ところが、実際には1人しか配置されておらず、法的な基準を大幅に下回る不適切な状態が続いていたことが疑われています。
こうした管理体制の甘さが、猛暑の中での練習環境をチェックする機能の欠如に繋がった可能性は否定できません。現場での安全確認が形骸化していたのであれば、それは組織としての大きな過失と言えるでしょう。現在、警察は業務上過失致死の疑いも視野に入れ、さらなる捜査を進めています。
筆者の個人的な見解としては、エンターテインメントを支えるキャストの命を軽視する姿勢は断じて許されるものではないと考えます。華やかなステージの裏側で、最低限の法令遵守すら疎かになっていた事実は、経営陣の安全に対する意識の低さを如実に物語っているのではないでしょうか。
今回の書類送検を機に、すべての事業者は改めて「人の命を預かる重み」を再認識すべきでしょう。どんなに魅力的なアトラクションがあっても、そこで働く人々が安全でなければ、真の娯楽は成立しません。徹底した原因究明と、二度とこのような悲劇を繰り返さないための抜本的な体制改革が求められます。
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