北極圏の眠れる巨人が、ついに目を覚まそうとしています。2019年12月03日、米アラスカ州のマイケル・ダンリービー知事が都内で取材に応じ、同州産の天然ガスを液化して日本へ輸出する壮大な計画について、熱い期待を語りました。現在、米国では「シェール革命」によって天然ガスの生産が爆発的に増加していますが、アラスカ州はその波に乗り遅れることなく、アジアの大消費地に近いという圧倒的な地理的優位性を武器に勝負を挑もうとしています。
ダンリービー知事が強調するのは、アラスカ産LNG(液化天然ガス)が持つ驚異的な「価格競争力」です。LNGとは、天然ガスをマイナス162℃まで冷却して液体にしたもので、体積を600分の1に圧縮して大量輸送を可能にしたエネルギー資源を指します。現在主流となっている米国南部メキシコ湾岸からの輸出ルートと比較して、アラスカから日本への海上輸送距離はなんと半分以下。この輸送コストの低さは、日本のエネルギー市場にとって極めて魅力的な選択肢となるでしょう。
SNS上では「アラスカは日本のLNG輸入の先駆けだった」「輸送距離が短いのは環境負荷も低そう」といった、歴史的背景や環境面への配慮を評価する声が上がっています。実は日本が1969年に初めてLNGを輸入した相手は、他ならぬアラスカ州でした。50年の時を経て、再び両国が強力なエネルギーパートナーシップを築こうとしている姿に、多くの専門家やネットユーザーが注目しています。パイプライン建設などの課題はありますが、期待値は高まる一方です。
二つの巨大プロジェクトと「ヘンリーハブ」の勝機
現在、アラスカ州では二つの輸出事業が検討されています。一つは約1,300キロメートルもの長いパイプラインを敷設する「アラスカLNG」、もう一つはガス田の近くから直接出荷する「キーラックLNG」です。知事は、米国の天然ガスの価格指標である「ヘンリーハブ」に連動した価格設定であれば、十分に世界的な競争に勝てると自信を覗かせました。ヘンリーハブとは、ルイ州にある天然ガスの集積地点の価格を基準とした、透明性の高い取引指標のことです。
一方で、米中貿易摩擦の影響は無視できません。かつて中国企業が共同開発に合意したものの、現在は停滞を余儀なくされています。しかしダンリービー知事は「プロジェクトが消滅したわけではない」と断言し、早期の事態解決を強く望んでいます。また、同州の主要輸出品である天然サーモンについても、日本の関税引き下げを求めるなど、エネルギー以外の分野でも日本との関係強化を急ぐ姿勢を見せています。
個人的な見解として、日本のエネルギー安全保障の観点からも、調達ルートの多様化は急務であると考えます。中東情勢に左右されない安定した供給源として、アラスカの存在感は今後さらに増していくはずです。もちろん、極寒の北極海での操業や莫大な建設費といったハードルは決して低くありません。しかし、歴史的な絆を持つアラスカとの新たなビジネスが実現すれば、私たちの生活を支えるエネルギーの未来はより明るいものになるでしょう。
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