欧州の「2050年炭素中立」宣言で海運・航空はどう変わる?日本企業の命運を握る脱炭素戦略の行方

2019年12月11日、欧州連合(EU)が2050年までに域内の温室効果ガス排出を実質ゼロにする「欧州グリーンディール」を掲げたことは、日本経済にも大きな激震を走らせています。特に化石燃料に深く依存してきた海運や航空といった運輸業界にとって、この決定はもはや無視できない巨大な荒波となって押し寄せているのです。

海運業界では、国際海事機関(IMO)が2050年までに排出量を2008年比で半減させるという目標を既に定めていました。しかし、今回のEUのより野心的な方針に対し、日本船主協会は「国際的な基準との整合性が取れなくなる」と困惑の表情を隠せません。足並みの乱れは、グローバルに展開する企業にとって経営の不確実性を高める要因となりかねないでしょう。

ネット上でも、環境規制の強化に対し「日本独自の技術で世界をリードしてほしい」という期待の声がある一方で、「燃料コストの増大が物流価格に転嫁されるのではないか」といった懸念が渦巻いています。単なる理想論ではなく、実利と環境のバランスをどう取るかが、今まさに問われているのです。

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排出量取引の導入と技術革新のジレンマ

海運各社は化石燃料を使わない次世代船舶の研究を急ピッチで進めていますが、2050年に排出ゼロを達成する壁は極めて高いのが現状です。ここで注目されるのが「排出量取引制度」です。これは、企業ごとに決められた排出枠を超えた場合に、他社から枠を買い取る仕組みを指します。現実的な選択肢ではありますが、コスト増は避けられません。

空の便についても、欧州を中心に「飛び恥(Flygskam)」という言葉が広まるほど、航空機への風当たりは強まっています。全日本空輸の平子裕志社長は、植物などの生物資源を原料とする「バイオジェット燃料」の活用を明言しました。こうした代替燃料の普及が、今後の航空業界の生き残りを左右する鍵となるはずです。

加速する自動車業界の電動化シフト

2021年には、自動車の二酸化炭素排出に対して世界で最も厳しい規制が導入される予定であり、各メーカーは対応に追われています。ホンダは2020年に欧州初となる量産電気自動車(EV)を投入し、2022年までに欧州での販売をすべて電動車に切り替えるという大胆な方針を打ち出しました。既存の販売比率を考えると、非常に挑戦的な目標と言えます。

日産自動車も、2022年度までに欧州新車の約半数を電動化する計画です。個人的な見解として、こうした規制は一見すると企業の負担増に見えますが、長期的に見れば、クリーンエネルギー分野での覇権を握るための「産みの苦しみ」ではないでしょうか。今、どれだけリスクを取って投資できるかが、次世代の産業競争力を決定づけるに違いありません。

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