2019年12月13日、日本銀行大阪支店が発表した近畿2府4県の「企業短期経済観測調査(短観)」の結果は、関西経済が直面する厳しい現実を浮き彫りにしました。製造業の景況感を示す業況判断指数(DI)は、前回から3ポイント下落してマイナス6を記録しています。
DIとは、景気が「良い」と答えた企業の割合から「悪い」と答えた割合を引いた数値で、現状の冷え込みを端的に表す指標です。今回の数値は全国平均のマイナス4を下回っており、関西の製造業が全国よりも深刻な状況に置かれていることが明確になりました。
SNS上では「地元の工場の動きが鈍いと感じていたが、数字で見るとやはり深刻だ」といった不安の声や、「米中貿易摩擦の余波がここまでダイレクトに来るとは」といった驚きの反応が広がっています。企業の現場からは、先行きの不透明感を嘆く切実な声が相次いでいます。
大手電機メーカーを直撃する米中貿易摩擦の余波
特に関西経済の屋台骨である「電気機械」のDIはマイナス13と、非常に厳しい水準に沈んでいます。パナソニックの梅田博和取締役常務執行役員は、米中摩擦の影響が一段と不透明になっていることを強調しており、実際に同社の営業利益は大幅な減少を余儀なくされました。
中国国内での設備投資が冷え込んだことで、工場で使用されるセンサーなどのファクトリーオートメーション(FA)関連製品が苦戦を強いられています。FAとは、工場作業を自動化するシステムのことですが、この需要減が関西の製造業に暗い影を落としているのです。
この影響は波及しており、関西ペイントでは中国での新車販売低迷により自動車向け塗料が減少しました。山陽特殊製鋼でも、工作機械向けから始まった需要減が自動車分野へ拡大しており、八並敬之執行役員は「早期の回復は見込めない」と厳しい見通しを語っています。
中小企業に至ってはDIがマイナス12となっており、大企業以上に深刻な事態に直面しています。大阪府大東市の山田製作所のように、自動車業界からの受注が激減した現場からは、米中摩擦の沈静化を願う悲痛な声が漏れており、経済の底割れが懸念される状況です。
消費増税とインバウンド鈍化がダブルパンチ
製造業だけでなく、非製造業も苦境に立たされています。小売り分野では2019年10月の消費増税に伴う買い控えの反動が大きく、キリン堂ホールディングスでは洗剤などの日用品売上高が13.2%も減少しました。内需の柱である個人消費の勢いが弱まっています。
さらに、これまで関西経済を支えてきたインバウンド(訪日客)需要にも陰りが見え始めました。11月には主要百貨店の免税売上高が前年を下回るケースが続出しており、元安や代理購入への規制強化が、主力である中国人客の購買意欲を削いでいる形です。
私個人の見解としては、関西は伝統的に中国経済との結びつきが強いため、世界情勢の煽りを受けやすい脆さが出たと感じます。しかし、苦しい時こそ地域一体となった粘り強さが必要です。今は耐え忍び、次なる成長への足場を固める時期だと言えるでしょう。
5G関連が救世主に?先行きに見える微かな希望
暗いニュースが続く一方で、希望の光も差し込んでいます。次世代通信規格「5G」の普及に伴い、関連部品の需要が立ち上がり始めているのです。村田製作所では中国の基地局向けに動きが出ており、電気機械の先行きDIは改善の兆しを見せています。
半導体材料の洗浄装置で世界をリードするSCREENホールディングスも、2020年春頃の本格的な需要回復を予測しています。三菱UFJ銀行の吉村晃調査役が指摘するように、研究開発を伴う設備投資は底堅く、関西特有の技術力が未来を切り拓く鍵となります。
景気の底打ちにはもう少し時間がかかるかもしれませんが、5Gという新時代の波を関西がどう掴むかが今後の焦点となるでしょう。一時的な停滞に惑わされず、最先端技術への投資を継続することこそが、再び関西が輝きを取り戻す唯一の道だと確信しています。
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