2019年12月6日、東京・新宿で発生した痛ましい死亡事故を受け、警視庁新宿署は観光バス大手「はとバス」への家宅捜索に踏み切りました。自動車運転処罰法違反の疑いで捜査が進められていますが、今回の悲劇には防げたかもしれない重大な背景が隠されています。
事故の引き金となったのは、37歳の男性運転手が患っていたインフルエンザです。ウイルスが体内で増殖して高熱や全身の倦怠感を引き起こすこの病は、時に意識を混濁させるほど強力なもので、安全運転を阻害する深刻なリスクとなり得ます。
空白の記憶と「無理な点呼」が招いた惨劇
捜査関係者によると、男性運転手は事故当時、38度を超える高熱にうなされていました。本人は「事故前後の記憶がなく、気づいた時には街路灯に激突していた」と供述しており、運転中に意識を失う「失神状態」だった可能性が極めて濃厚と言えるでしょう。
驚くべきことに、彼は当日朝に体調の異変を感じ、市販薬を服用してまでハンドルを握っていました。運行前の対面点呼では「異常なし」と報告したとされていますが、プロの現場でなぜ体調不良が見逃されたのか、管理体制の甘さを指摘する声がSNSでも相次いでいます。
インターネット上では「インフルエンザでバスを運転するのは凶器を持つのと同じだ」という厳しい批判がある一方で、「体調不良を言い出せない職場環境があったのではないか」と同情や不安を露わにする投稿も散見されました。
編集者の視点から言わせていただければ、この問題は個人の責任に留まりません。人命を預かる公共交通機関において、運転手の自己申告だけに頼る健康管理がいかに危ういか、今回の事件はまざまざと見せつけました。
特に冬場の繁忙期、現場に「休めない空気」が蔓延していなかったでしょうか。たとえ市販薬で一時的に熱を下げたとしても、インフルエンザによる判断力の低下は防げません。会社側には、より厳格なチェック体制と、無理なく休める環境作りが求められます。
2019年12月7日現在、警察は当時の詳しい勤務状況や健康管理の記録を詳しく精査しています。二度とこのような悲劇を繰り返さないためにも、はとバスには組織としての徹底した説明責任と改善策の提示が強く望まれるでしょう。
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