神奈川県の大和市議会において、政治の在り方を問う大きな決定が下されました。市長の在任期間を連続3期までとするよう努める「多選自粛条例」を廃止する案が、2019年12月24日の本会議で賛成多数により可決されたのです。この条例は、特定の人物が長期間にわたって権力を握り続けることで、市政が硬直化したり癒着が生じたりするのを防ぐために制定された「努力規定」と呼ばれるものでした。
努力規定とは、法律や条例において「~するように努めなければならない」と記される形式を指します。強制的な罰則はないものの、政治家としての倫理観や姿勢を内外に示す重要な意味を持っていました。しかし、現職の大木哲市長が2019年04月に4度目の当選を果たしたことで、自らが制定を主導したルールとの間に大きな矛盾が生じてしまい、議会でもその整合性が激しく議論されることになったのです。
自ら作ったルールを撤廃する決断と議会の反応
もともとこの条例は、大木市長が前職の多選を厳しく批判して初当選を飾った後、自身の不退転の決意を示すものとして2008年に提案・制定されました。2019年04月の市長選でもこの「多選の是非」が最大の争点となりましたが、結果として市民は大木市長への継続を託しました。これを受け、「やまと市民クラブ」や公明党などの会派が、民意との乖離を解消するために条例の廃止を主導した形となります。
一方で、日本共産党や自民党・新政クラブの一部議員からは、自ら掲げた公約や倫理を反故にする行為だとして強い反対の声が上がりました。SNS上でも「市民が選んだのだから継続は当然だ」という支持派の声と、「自分に都合よくルールを変えるのはいかがなものか」という批判的な意見が真っ向から対立しており、地域のリーダーが示すべき「筋の通し方」について、今もなお熱い議論が交わされています。
2019年12月26日に正式に交付され、この条例は姿を消すことになります。大木市長は可決を受けて、今後も与えられた職責を全うするとのコメントを発表しました。筆者の私見としては、多選による行政の安定というメリットは理解できるものの、一度掲げた「政治の私物化防止」という旗印を下ろす以上、これまで以上に透明性の高いクリーンな市政運営を証明し続ける責任が、市長には課せられたと感じます。
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