兵庫県加西市に本社を置く搬送機器のスペシャリスト、伊東電機が農業の常識を塗り替えようとしています。同社は2019年12月12日、兵庫県と連携協定を締結し、県内2カ所に最先端の地下植物工場を新設すると発表しました。総額約20億円という巨額の投資を背景に、これまで培ってきた物流搬送技術を惜しみなく投入する計画です。このニュースに対し、SNSでは「製造業が本気でイチゴを作るとはどういうことか」「地下なら天候に左右されず安定供給できそう」といった期待の声が数多く寄せられています。
今回のプロジェクトの鍵を握るのは、同社の主力製品である「パワーモーラ」という技術です。これはローラーの中に駆動用のモーターを内蔵したもので、工場や物流センターで荷物を運ぶ際に欠かせない心臓部と言えます。この技術を農業に応用し、イチゴを載せたトレーを自動で移動させる仕組みを構築しました。これにより、種まきから苗の成長、そして収穫に至るまでの工程を機械化し、季節や時間帯を問わずに「毎日収穫」できる環境を実現するのです。工業技術が食の未来を支える姿には、胸が熱くなりますね。
地下空間がもたらす究極の栽培環境と環境への配慮
なぜあえて「地下」なのかという疑問に対し、同社は明確な利点を掲げています。地下空間は外気温の影響を受けにくいため、空調コストを劇的に抑えることが可能です。光合成に不可欠な太陽の光は、LED(発光ダイオード)によって代用されますが、これもただ光らせるわけではありません。光の色や強さ、照射時間を緻密に制御することで、イチゴにとっての「理想的な1日」を人工的に作り出します。LEDとは電気を流すと発光する半導体のことで、特定の波長を調整できるため植物工場には最適のデバイスなのです。
持続可能な社会を目指す姿勢も、今回の計画の大きな魅力と言えるでしょう。新工場で必要となる電力は太陽光発電によって賄われる予定であり、環境負荷の低減を徹底しています。千葉県習志野市でのレタス栽培実績をベースに、さらなる進化を遂げようとする同社の姿勢には、地域貢献とビジネスの融合という新時代の形が見て取れます。兵庫県加西市では2022年度、宍粟市では2023年度の稼働を目指しており、兵庫県独自の新品種が地下でたわわに実る日はもうすぐそこまで来ています。
筆者としては、伊東電機の試みは日本の農業が抱える後継者不足や気候変動といった課題に対する、製造業側からの非常に力強い回答だと感じています。自然に左右されるのが農業の宿命でしたが、テクノロジーによる「再現性」の追求が、安定した食卓を守る盾となるはずです。2019年12月13日の発表時点で、工場面積などの詳細は検討中とのことですが、地元の雇用創出や特産品のブランド化など、波及効果は計り知れません。日本発の技術が、世界を驚かせる農業モデルになることを切に願っています。
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