精密機器業界に激震が走っています。フェローテックホールディングスが2019年11月14日に発表した2019年4月から9月期の連結決算は、最終的な儲けを示す純利益が前年の同じ時期と比べて46%も落ち込み、15億円にとどまりました。かつての勢いにブレーキがかかった形となり、市場関係者の間でも驚きが広がっているようです。
今回の苦戦の背景には、世界的なハイテク分野での設備投資の抑制があります。私たちの生活に欠かせないスマートフォンに使われる半導体や、鮮やかな映像を映し出す有機ELパネルの工場が、新しい機械の導入を控えたことが大きく響きました。結果として、全体の売上高も前年比7%減の418億円へと減少する厳しい結果となっています。
特に大きな影響を受けたのが、同社の主力製品である「真空シール」です。これは半導体を作る際、不純物が混ざらないよう装置内部を空気が存在しない「真空」という特殊な状態に保つための超精密な部品を指します。半導体市場が冬の時代を迎えたことで、この重要な部材の需要が目に見えて落ち込んでしまったのは、非常に痛手と言えるでしょう。
さらに、次世代ディスプレイとして期待される有機ELパネル向け部材も振るいませんでした。SNS上では「ハイテク産業のサイクルが想定以上に厳しいのではないか」といった懸念の声も散見されます。かつての成長を支えた主要分野が同時に足踏みをしている状況は、投資家の間でも慎重な見方を生む大きな要因となっているに違いありません。
自動車市場の減速がもたらした多重苦
追い打ちをかけたのが、温度を自在に調節できる「サーモモジュール」の苦境です。この部品は電流を流すことで加熱や冷却を行う電子素子で、自動車のシートの温度管理などに広く使われています。しかし、北米や中国といった巨大市場で車の売れ行きが鈍化したことで、この分野の出荷も思うように伸びなかったのが実情でしょう。
編集者の視点から見れば、今回の決算は世界経済の「体温」を如実に映し出していると感じます。半導体から自動車まで、フェローテックが手掛ける製品はどれも産業の根幹を支えるものばかりです。それらが一斉に停滞した事実は、現在の不透明な景気動向を象徴しており、単なる一企業の不振として片付けることはできない重みがあります。
2019年11月15日現在、厳しい数字が並んだものの、同社の技術力自体が失われたわけではありません。市場が再び活気づくタイミングで、どれだけ素早く反転攻勢に出られるかが今後の鍵となるはずです。今は耐え忍ぶ時期かもしれませんが、次世代の5G普及やEVシフトが本格化すれば、再び脚光を浴びる日は遠くないと期待しています。
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