中堅ゼネコンとして名高い奥村組が、2019年11月14日に発表した最新の連結決算にて、厳しい現状を明らかにしました。2020年3月期の連結純利益は、これまでの予想をさらに下回り、前期比で38%減となる76億円にまで落ち込む見通しです。当初の予測では30%減という数字が示されていましたが、想定を上回る逆風が吹き荒れている様子が伺えます。
今回の下方修正において、最大の懸念材料となったのは、複数の建設現場で発生している工事の遅延です。建物が完成するまでの期間を指す「工期」を守るため、外部のパートナー企業へ支払う「外注費」が、当初の計画を大幅に超過する事態となりました。納期を厳守しようとする誠実な姿勢が、結果として利益を圧迫する皮肉な構図が鮮明になっています。
収益構造の変化と配当への影響
保有している株式を売却することで利益を補填する動きも見せていますが、工事費の膨張をカバーするには至っていません。また、年間の配当金も、従来の予想から3円引き下げられた115円に修正されました。2019年3月期の配当が153円であったことを考えると、投資家にとっても厳しい局面であることは間違いなく、市場の視線も厳しさを増しています。
同日公表された2019年4月1日から2019年9月30日までの半年間の決算を見ると、売上高こそ前年同期をわずかに上回る1062億円を確保したものの、純利益は53%減の26億円という衝撃的な数字が並びました。物流倉庫といった利益率の高い「大型案件」が減少したことも、収益性の低下に拍車をかけたと言えるでしょう。
編集部が斬る!建設業界の構造的課題
SNS上では、この発表を受けて「他人事ではない」「人手不足の影響が深刻だ」といった、建設業界の未来を案じる声が多く見受けられます。私が思うに、今回の奥村組の苦境は、単なる一企業の不振ではなく、日本の建設業全体が抱える「人材不足」と「コスト増」という構造的な病巣を象徴しているのではないでしょうか。
これまでの「安く、早く」というビジネスモデルが限界に達しつつある中で、無理に工期を合わせようとすれば、外注費を積み増すしか手段がありません。今後は効率化に向けた技術革新はもちろん、適正な工期設定やコストの転嫁が、業界全体の持続可能性を左右する鍵になると確信しています。厳しい冬を越え、再び信頼を回復する底力に期待したいところです。
コメント