ヤマトHD、営業益8割減の衝撃!宅配クライシス後の「値上げ」と「コスト」の狭間で揺れる物流王者の現在地

物流業界の巨人、ヤマトホールディングス(HD)の業績に急ブレーキがかかっています。2019年4月から2019年9月までの連結営業利益が、前年同期と比較して約8割も減少する50億円程度にとどまる見通しであることが判明しました。かつて「宅配クライシス」と呼ばれた深刻な人手不足を乗り越えるべく、同社は運賃の値上げという大きな決断を下しましたが、その道のりは想像以上に険しいものとなっているようです。

今回の減益に大きな影響を与えたのは、皮肉にも戦略的に制限してきた「荷物量」の戻りの鈍さです。ヤマトHDは現場の負担を減らすため、あえて引き受ける荷物を絞り込む戦略をとってきました。しかし、一度離れた顧客や荷物量が想定通りに回復しておらず、収益の柱である「連結営業利益(本業で稼いだ利益のこと)」を押し下げる結果を招いています。SNS上でも「便利だけど送料が高くなった」という消費者のリアルな声が散見されます。

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膨らむ人件費と「値上げ前利益」への遠い道のり

利益を圧迫しているもう一つの要因が、サービスを維持するためのコスト増加です。労働環境を改善するために採用人数を増やしたことで「人件費(従業員に支払う給与や諸手当)」が膨らみ、さらに自社で賄いきれない分を外部に委託する「外注費」も高騰しています。2019年10月17日時点の状況を鑑みると、これらのコスト増を荷物の単価アップだけで補いきれていない苦しい台舞台裏が透けて見えてくるでしょう。

当初、ヤマトHDは2017年の運賃改定を経て、今期こそは値上げ前の利益水準を奪還するという強気な計画を掲げていました。しかし、現状の数字を見る限り、期初に描いた青写真は修正を余儀なくされる可能性が極めて高いと言わざるを得ません。現場の労働環境を守りつつ、いかにして利益を確保するのかという、物流企業が直面するパラドックス(逆説的な困難)が浮き彫りになっています。

個人的な見解としては、ヤマトが断行した「働き方改革」は業界全体にとって不可欠な一歩であったと評価しています。しかし、利便性に慣れきった社会において、適切な対価を回収し続けることの難しさを改めて痛感させられます。単なる運賃の調整にとどまらず、ドローンやAIを活用した配送効率の劇的な向上が、今後のV字回復には不可欠になるのではないでしょうか。物流の未来を支える王者の、次なる一手に注目が集まります。

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