化学メーカーの大手であるカネカは、2019年11月12日に今期の業績予想を大幅に修正することを明らかにしました。2020年3月期の連結純利益は、当初の増益予想から一転して、前期比19%減の180億円にとどまる見通しです。これまでは3%の増益を見込んでいただけに、市場関係者の間でも驚きが広がっているようです。
業績悪化の大きな要因となっているのは、同社の屋台骨である塩化ビニール樹脂の伸び悩みでしょう。これは水道管や建築資材に広く使われる汎用性の高いプラスチックですが、世界的な景気減速の影響を受け、需要が計画を下回っています。加えて、強アルカリ性の基礎化学品であるカセイソーダも、市況の回復が遅れていることが大きな重荷となりました。
世界経済の荒波と主力事業のジレンマ
さらに追い打ちをかけるように、自動車部品に使われる樹脂改質剤の販売も振るわない状況が続いています。樹脂改質剤とは、プラスチックに混ぜることで耐衝撃性や加工性を高める魔法の粉のような添加剤ですが、自動車業界の生産調整が直撃した形です。これに加えて円高による為替差損も発生しており、外部環境の厳しさが浮き彫りになっています。
SNS上では「カネカほどの企業でも塩ビやソーダの市況悪化には抗えないのか」といった冷静な分析や、「製造業全体の冷え込みを象徴している」といった懸念の声が散見されます。売上高の見通しも6250億円へと下方修正されており、まさに正念場を迎えていると言えるでしょう。主力事業の停滞をいかに打破するかが、今後の大きな焦点となります。
環境素材が未来を照らす!次世代事業への期待
しかし、悲観的なニュースばかりではありません。今回の発表では、環境に優しい「生分解性プラスチック」が非常に好調に推移していることも併せて報告されました。これは微生物の力で水と二酸化炭素に分解される画期的な樹脂で、脱プラスチックの潮流に乗る期待の星です。現状では主力事業の落ち込みを補うまでには至りませんが、その成長力には目を見張るものがあります。
個人的な見解としては、目先の減益は痛手ですが、次世代のスタンダードとなる環境素材への投資を継続している点は高く評価すべきだと感じます。2019年4月から9月期の中間決算では純利益が前年同期比で43%減の60億円と苦しい数字が出ましたが、ここが底打ちとなるのか。古い化学の力から、新しい生命科学の力への転換点に、私たちは立ち会っているのかもしれません。
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