日本の製造業を支える真空技術のスペシャリスト、アルバックが発表した最新の決算資料が、市場に大きな波紋を広げています。同社が2019年11月13日に公表した2019年7月から9月期の連結決算によりますと、最終的な儲けを示す純利益は前年の同じ時期と比べて43%も減少した34億円にとどまりました。
かつては飛ぶ鳥を落とす勢いだったテレビ用の液晶パネル製造装置において、中国を中心に進められていた巨大なプロジェクトが、ついに一段落したことが主な要因です。SNS上でも「ついに液晶バブルが落ち着いたか」「製造装置メーカーの冬の時代」といった、先行きを懸念する声が数多く見受けられます。
売上高についても、前年同期比で24%減少の467億円となっており、市場環境の厳しさが如実に表れた形となりました。アルバックの得意とする「真空技術」は、物質を極限まで薄く積み重ねるパネル製造には欠かせない技術ですが、顧客側の投資マインドが冷え込むと、その影響をダイレクトに受けてしまう宿命にあるのです。
スマホもテレビも足踏み?揺らぐ半導体とパネル投資の現状
今回の減益には、次世代の画面技術として期待される「有機ELパネル」関連の投資延期も影を落としています。有機ELとは、液晶とは異なり素子自体が発光するデバイスのことで、より鮮やかな色彩が特徴ですが、コスト面や需要の不透明さから一部のメーカーが設備投資を先送りする動きを見せているのです。
さらに、現代社会の「脳」とも言える半導体の製造装置も苦戦を強いられています。演算を担う「ロジック半導体」向けは堅調だったものの、データを記録する「メモリー半導体」については、市場価格の下落によって顧客が財布の紐を固く締めてしまいました。IT需要は根強いはずですが、設備投資のサイクルは今、踊り場に差し掛かっているのでしょう。
アルバックは、2020年6月期通期の業績についても、純利益が前期比17%減の155億円になると予測しています。個人的には、この逆風こそが新たな技術革新の「溜め」の期間になると考えています。今は苦しい時期ですが、5Gの普及などで再び投資が加速する局面が訪れた際、同社の技術力が再び光り輝く日はそう遠くないはずです。
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