クラボウ復活の鍵は「守・壊・創」にあり!創業家社長・藤田晴哉氏が挑む非繊維事業への大胆シフトと伝統の継承

かつて日本の経済を支えた花形産業、綿紡績。しかし、現在その業界は海外勢との熾烈な価格競争により、かつてないほどの逆風にさらされています。そんな中、業界の雄であるクラボウを率いる藤田晴哉社長は、2019年12月16日現在、伝統ある繊維事業の枠を超えた「非繊維事業」の拡大に心血を注いでいます。

藤田社長が掲げる変革のキーワードは「守・壊・創(しゅ・かい・そう)」です。これは、守るべき伝統を守り、古い体制を壊し、新たな価値を創り出すという強い決意の表れに他なりません。SNS上でも「老舗企業がここまで本気で変わろうとしている姿には勇気をもらえる」「伝統と先端技術の融合が楽しみだ」といった期待の声が数多く寄せられています。

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研究開発の「壁」を壊し、未来の芽を育てる

藤田社長の改革を象徴するのが、2016年に大阪府寝屋川市に新設された「クラボウ先進技術センター」です。ここでは青い作業服に身を包んだ技術者たちが、半導体製造用センサーや再生医療向け資材など、繊維とは一線を画す次世代ビジネスの創出に挑んでいます。これまでの研究体制は、既存製品の改良に偏りがちで、新しい成長を生みにくいという課題がありました。

そこで藤田社長は、研究組織を根本から刷新しました。特定の事業部に紐づく形ではなく、機械や材料といった「基盤技術」ごとにグループを編成し、プロジェクトに応じて最適な人材を投入する柔軟な仕組みへと作り変えたのです。いわば、社内の技術力を「点」ではなく「線」や「面」で結びつけ、化学反応を狙う戦略的なアプローチといえるでしょう。

この取り組みから生まれた期待の星が、2020年4月に発売を予定している「ロボット用ビジョンセンサー」です。これはロボットの「目」となる技術で、対象物の形や動きを3次元で瞬時に認識し、最適な動作を指示する画期的なシステムです。自動車の配線工程など、高度な自動化が求められる現場での活躍が見込まれており、クラボウの技術力の高さを証明する一歩となるでしょう。

「やるべし」の遺伝子を呼び覚ます現場主義

創業家出身の藤田社長ですが、その歩みは決して平坦なエリートコースではありませんでした。入社時には「誰よりも優秀にならなければ、周囲の納得は得られない」という厳しい覚悟を突きつけられ、エレクトロニクスや化成品など多様な現場を渡り歩いてきました。2006年に経験した初の工場勤務では、現場と同じ目線に立って汗を流し、泥臭く対話を重ねることで生産性を高めたといいます。

私は、この「現場感覚」こそが、今のクラボウに最も必要な要素だと考えます。長年の構造改革で萎縮してしまった社内の雰囲気を打破するため、藤田社長は130周年の節目に「さあ、面白がろう」という軽やかなスローガンを掲げました。創業の地・倉敷に伝わる「やるべし、大いにやるべし」という挑戦の遺伝子を、現代のスピード感に合わせてアップデートしようとしているのです。

2019年3月期の繊維事業が営業赤字に転落するなど、経営環境は依然として厳しい状況にあります。しかし、愛犬の「しんのすけ」と散歩をしながら街の小さな変化を楽しむ藤田社長の柔軟な視点と、現場を鼓舞する包容力があれば、名門クラボウは必ずや新しい姿へと進化を遂げるはずです。伝統を守りながら自らを壊し、未来を創る挑戦は、今まさに加速しています。

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