2019年11月15日現在、日本の労働環境は大きな転換期を迎えています。働く人の8人に1人が65歳以上という「シニア活躍時代」が到来する一方で、現場では深刻な世代間ギャップも浮き彫りになりました。ある調査では、20代から30代の若手社員の約2割が「シニア世代と働くことに消極的」であるという、少し寂しい現実が明らかになっています。
若手世代が抱く「シニアはプライドが高そう」「価値観が合わない」といった先入観は、SNS上でも「教え方が説教くさい」「昔の成功体験を押し付けられる」といった切実な声として散見されます。しかし、こうした「見えない壁」を壊し、お互いの強みを融合させて素晴らしい相乗効果を生み出している企業が、今、注目を集めているのです。
固定観念を捨てて「個人」として向き合う勇気
損害保険ジャパン日本興亜で働く26歳の永田桃子さんは、かつてシニア世代にマイナスのイメージを持っていました。しかし、2016年04月の入社以来、70歳の内田次男さんと共に歩む中でその考えは一変したそうです。内田さんからエクセルの高度なデータ処理技術を教わるだけでなく、雑談や食事会を通じて心の距離を縮めていきました。
永田さんは「シニアというレッテルではなく、一人の人間として見る大切さを学んだ」と語っています。対する内田さんも、若手の丁寧な仕事ぶりに触れることで、長年の経験に甘んじることなく「初心に帰る」という気づきを得ました。ここでは、単なるスキルの伝承を超えて、人間的な成長を促す理想的な関係性が築かれています。
得意分野を補完し合う「ペア就労」の可能性
「ペア就労」とは、豊富な知識を持つベテランと、ITスキルや柔軟な発想を持つ若手を組み合わせて業務を行う手法です。東急ハンズ渋谷店では、79歳の小川幸夫さんが持つ熟練の「彫金(ちょうきん)」技術が、26歳の国分秋穂さんに受け継がれています。彫金とは、タガネ等の道具を使って金属の表面を彫ったり叩いたりして装飾を施す伝統的な技法です。
手仕事のプロである小川さんも、最新の機械操作には戸惑う場面がありますが、そこを国分さんがサポートすることで業務が円滑に回ります。こうした「ギブ・アンド・テーク」の精神こそが、職場を活性化させる鍵となります。編集者の視点から言えば、互いの「できないこと」を認め合い、補い合う文化こそが、今の日本企業に最も求められている姿ではないでしょうか。
もちろん、単に組み合わせるだけでは摩擦も生じます。世代が離れすぎているからこそ、シニア側にはハラスメントへの配慮や教え方の研修も必要でしょう。2019年11月15日の現状として、若手がシニアの働き方を「自分たちの将来のロールモデル」と捉えられるような環境作りが、組織の持続的な成長には不可欠であると私は強く確信しています。
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