広大な北海道の各地にキャンパスを構える国立大学法人、北海道教育大学。その中でも、函館市のキャンパスから生まれる卒業生たちの進路は、驚くほど多様性に満ち溢れています。「教育大」という名称から、教員への道が唯一の正解と思われがちですが、実際には民間企業や公務員など、幅広いフィールドで活躍する若者が次々と誕生しているのです。
こうした柔軟なキャリア形成を力強く支えているのが、2019年11月15日現在、函館校のキャリアセンター長を務める根本直樹教授です。教授は、学生が1年次の段階から「自律して働くこと」を強く意識できるよう、きめ細やかな指導を徹底されています。教育現場に限定されない多様な選択肢を提示することが、現代の学生に求められる本当の支援なのでしょう。
SNS上でも「教育大なのに一般企業に強いのは意外」「進路が広いのは安心できる」といった好意的な意見が多く見受けられます。かつては教員志望以外の学生に対して「なぜ教育大なのに先生を目指さないのか」という厳しい目が向けられることもありましたが、現在はその認識が大きく変わりつつあります。大学側の積極的な求人開拓が、実を結んでいる証拠です。
「ゼロ免課程」が切り拓く、地域と学生の新しい未来
函館校が採用しているのは、教員免許の取得を卒業の必須条件としない「ゼロ免課程」と呼ばれる国際地域学科です。免許取得に縛られず、地域政策や国際社会を自由に学べるこの仕組みは、多様な将来像を描く学生にとって大きな魅力となっています。2019年3月24日の卒業生データを見ると、就職希望者に対する決定率は92.4%という高水準を記録しました。
具体的な就職先を見てみると、教員としての道を選んだのは全体の約2割にとどまります。過半数を超える127人が民間企業へと羽ばたき、さらに47人が公務員として行政の現場へと進みました。北海道南部のみならず、北東北出身の学生たちも、それぞれの地元志向を活かしながら東日本を中心とした多様な業界へと採用されていく姿が印象的です。
大学側が1年次から必修としているキャリア授業では、独自の「キャリア・ノート」が活用されています。これはテキストと自己分析シートが一体化したもので、学生が自ら書き込み、深く考える参加型の形式です。また、社会の仕組みを学ぶために日本経済新聞の読み方を学ぶ講義まで用意されており、極めて実践的なビジネススキルの基礎を養っています。
2年次以降は、民間、官庁、教員という進路別の指導へと深化し、企業担当者との直接交流やエントリーシートの添削、模擬面接などが連日のように実施されます。さらに、就職活動の激戦地である札幌市へ向かう「無料就活シャトルバス」の運行など、学生の経済的負担を軽減するユニークな支援策も、この大学ならではの温かい配慮といえるでしょう。
私は、こうした「教員以外を知る」教育こそが、巡り巡って教育界にも好影響を及ぼすと確信しています。民間や官公庁の論理を理解した上で教壇に立つことは、子どもたちに社会のリアルを伝える力になるからです。北海道教育大学函館校の取り組みは、大学が単なる資格取得の場ではなく、生き方をデザインする場であることを証明しています。
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