「母さんが夜なべをして……」というかつての風景は、今や令和の時代に合わせて劇的な進化を遂げています。2019年11月15日現在、内職という働き方が再び注目を集めているのをご存知でしょうか。かつての暗いイメージとは異なり、現代の内職は「好きな時に、好きな分だけ」という自由なスタイルが支持され、じわじわと利用者が増加しているのです。
特筆すべきは、パソコン操作などの高度なITスキルを必要としない点です。事務職へのハードルを感じる方や、育児中で家を空けられない層にとって、手仕事を中心とした軽作業は非常に魅力的な選択肢となっています。SNS上でも「これなら自分にもできそう」「育児の合間にリフレッシュになる」といったポジティブな反応が目立ち始めています。
子育て世代も大注目!「内職市場」が提案する柔軟な働き方
2019年9月24日の平日午前、さいたま市の「内職市場 新大宮バイパス店」には、2歳の娘さんを連れた飯野賢美さん(34歳)の姿がありました。3人のお子さんを育てる彼女は、おもちゃの組み立てなど「種類豊富な作業が飽きなくて楽しい」と笑顔で語ります。内職市場は愛知県春日井市に拠点を置き、2019年には新たに10県へ進出するなど、その勢いを加速させています。
この背景には、企業の「働き方改革」が大きく影響していると考えられます。企業側がこれまで社内で行っていた細かな作業を、外部の専門業者に委託する「アウトソーシング」の流れが強まっているのです。これにより、市場には安定した仕事供給が生まれており、働く側にとっても「単純だけど奥が深い」作業に没頭できる環境が整っています。
高単価な「通い」内職とコミュニティの形成
最近のトレンドとして見逃せないのが、自宅ではなく店舗へ足を運ぶ「通い」の内職です。特に機密性の高い案件などは、管理の行き届いた店内で作業を行うことで、自宅への持ち帰りよりも高い単価が設定されています。現場では60代の女性たちが、企業の試供品セットを素早い手さばきでまとめる姿が見られ、活気に満ち溢れています。
ここで興味深いのは、働く目的が「お金」だけではないという点です。店舗の責任者である野村豊氏は、多くの利用者が孤独を解消するためのコミュニティを求めて集まっていると指摘します。1時間の稼ぎが300円から500円程度であっても、仲間とお喋りを楽しみながら効率的に作業を進める時間は、現代社会において非常に贅沢な居場所となっているようです。
「ご近所ワーク」の台頭と多様化する参加層
さらに、2018年7月からはスマートフォンのアプリを活用した「ご近所ワークlite」といったサービスも登場しました。地図上に表示される「ジョブ」と呼ばれる軽作業を、移動のついでに10分程度でこなす仕組みです。例えば指定場所の風景撮影など、手軽な案件が中心となっています。驚くべきことに、このサービスでは隙間時間を有効活用したい男性の登録も増えています。
厚生労働省が発表した2018年の「家内労働概況調査」でも、従事者数は2年連続でプラスに転じました。私個人としては、この「ちょい稼ぎ」の流行は、単なる労働不足の解消に留まらないと考えています。誰もが自分のペースで社会と繋がり、役割を持てるというこの仕組みは、令和におけるウェルビーイング(心身の幸福)の新しい形を象徴しているのではないでしょうか。
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