2020年1月8日現在、日本のものづくり技術が世界中から熱い視線を浴びています。特に注目を集めているのが、さいたま市に拠点を構える「住田光学ガラス」の生み出す極小の光学製品です。直径0.5ミリメートル以下のカメラレンズや、髪の毛の半分ほどの太さしかない光ファイバーなど、その微細な加工技術には目を見張るものがあります。
SNS上でも「日本の職人芸はやはり世界一だ」「こんな小さなレンズをどうやって作るの?」といった驚きの声が多数寄せられています。体内を細かく観察する内視鏡や、精密な産業用の検査装置において、カメラレンズにはさらなる小型化と高精細な画像認識能力が求められているのです。
世界から求められる極小のレンズ・光ファイバー技術
そもそも光ファイバーとは、光の反射を利用して画像やデータを伝送する極細のガラスやプラスチックの糸のことです。血管やリンパ管といった極めて細い管に内視鏡を通すためには、この光ファイバー自体が極限まで細く、かつ折れないしなやかさを持つことが不可欠と言えます。
住田利明社長が「まるで手作り工芸品」と語るように、クモの糸より細い製品の加工は機械による自動化ができません。主力の福島県南会津町の工場では、職人たちが顕微鏡をのぞき込みながらピンセットを駆使して、手作業で丁寧に組み立てを行っているそうです。これこそが他社には真似できない強みと言えるでしょう。
自由な「放し飼い」が生む驚異のイノベーション
同社のもう一つの大きな財産は、約40名からなる研究開発陣の存在です。「もっと小さく、高性能な世界初を作りたい」という純粋な好奇心を原動力に、ガラス素材の調合から開発を手掛けています。用途を後から考えることも多く、その様子はまさに大学の研究室そのものです。
TwitterなどのSNSでは「『お金は後でついてくる』という社長の言葉に痺れた」「理系学生が勝手に集まる理由がわかる」と、その経営哲学を絶賛する投稿も目立ちます。人手不足が叫ばれる昨今の中小企業において、採用活動なしでも優秀な人材が集まってくるのは、この純粋に研究を楽しめる環境があるからに他なりません。
1924年の創業以来、「人と同じ道は行くな」という創業者の教えが脈々と受け継がれています。光の分散を抑える高価な天然鉱物「蛍石」の代わりとなる新素材「ホタロン」や、目に見えない赤外線を可視光に変換する「ヤグラス」など、100件以上の特許を持つ独自製品を次々と世に送り出してきました。
本社で出迎えてくれる鶏のマスコット「ナゼ太郎」には深い意味が込められています。「なぜ新製品が次々生まれるのか」という問いに対し、先代社長は「庭で放し飼いにされた鶏みたいな従業員がいるから」と答えたそうです。狭いケージに押し込めず、のびのびと才能を発揮させる環境が革新を生んでいるのですね。
編集者視点:これからの日本企業が学ぶべき経営哲学
私はこの「放し飼い」の社風こそが、これからの日本の製造業を救う鍵だと強く確信しています。効率や目先の利益ばかりを追求する窮屈な企業が増える中、ものづくりの本来の面白さを追求し、失敗を恐れずに挑戦できる自由な環境が、結果として世界的な競争力を生み出している事実は非常に痛快に感じられます。
コスト削減や効率化を最優先しがちな現代社会において、住田光学ガラスのブレない姿勢は多くの企業にとって大きなヒントになるはずです。未知の領域を開拓し続ける自由闊達な「鶏」たちが、今後どのような驚きの技術で世界を照らしてくれるのか、その輝かしい未来に大いに期待したいと思います。
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