ビジネス書の要約サービスとして大きな注目を集める株式会社フライヤー。そのトップを務める大賀康史最高経営責任者(CEO)の母校は、東京都内でも屈指の進学校として名高い都立西高校です。しかし、大賀氏がそこで過ごした日々は、世間がイメージする「ガリ勉」とは程遠いものでした。勉強はほどほどに、野球とロックバンドの活動に全てを捧げる毎日を送っていたのです。ネット上でも「自由な校風がエリートを育てるのか」「メリハリの凄さに驚いた」と、その独特な環境に感嘆の声が上がっています。
大賀氏は高校時代、自ら旗振り役となってバンドを結成し、ボーカルとギターを担当しました。ハードロックに心酔し、海外の有名バンドの楽曲を熱心に演奏していたそうです。実は、このバンド活動こそが、現在の企業経営の原点になっていたと大賀氏は振り返ります。トップが未来のビジョンを明確に提示し、それに共感した仲間が集まり、一つの目標に向かって組織を動かしていくプロセスは、まさにビジネスそのものと言えるでしょう。
エリート気取りゼロ!驚きの「人それぞれ」精神
一般的に名門進学校と聞くと、誰もが東大をはじめとする最難関大学を目指して競い合うイメージを抱きがちです。しかし、都立西高校にはそうしたエリート気取りの空気は一切なかったと大賀氏は語ります。驚くべきことに、高校3年生の半ばを迎えるまで、校内には受験ムードすら漂っていなかったそうです。生徒一人ひとりが自分の世界を持っており、進学先も地方大学から芸術・音楽系まで、いい意味でバラバラな選択をしていました。
学校側も手厚い進学指導を行うことはなく、ほぼ完全な放任主義を貫いていました。生徒が先生に進路相談をすること自体が珍しいという、自立心の塊のような集団だったのです。ここで使われる「放任主義」とは、単に生徒を突き放すという意味ではありません。学校側が個人の可能性を信じ、余計な口出しをしない「究極の信頼の裏返し」であると私は強く感じます。誰かに指示されるのではなく、自分で考えて動く環境こそが、起業家精神を育む土壌になったはずです。
最後の夏で見せる、圧倒的な集中力と切り替えの美学
大賀氏は小学2年生から高校3年生まで野球を続け、最後の夏の大会が終わるまでは完全に競技へのめり込んでいました。そして大会が終わった瞬間、一気に受験モードへと心のスイッチを切り替えたのです。この鮮やかな「集中力の切り替え」こそが、西高生の真骨頂であり流儀でした。3年間の自由な時間を全力で満喫したからこそ、いざという時の爆発力が生まれるのでしょう。
2020年01月07日の取材時点で当時を振り返った大賀氏は、高校3年生の夏からのスタートだったため浪人を覚悟していたと明かしています。現役受験時には東大以外に行くつもりがなく、入学金すら納めなくていいと親に伝えていたそうです。しかし、親が黙って入学金を支払ってくれていたことを知り、現役で合格していた早稲田大学理工学部への進学を決めました。子供の可能性を信じて口うるさく言わなかった母親の存在も、大賀氏の知的好奇心を伸び伸びと育てた大切な要素でした。
原点は小学生時代のゲーム!遊びから芽生えた経営への想い
大賀氏の経営マインドの根っこを探ると、なんと小学生のころに夢中になった「トップマネジメント」という経営シミュレーションゲームに突き当たります。これは企業の資金繰りや設備投資、人材採用などを疑似体験できるゲームです。幼少期にゲームを通じて経営の面白さに触れたことで、「いつかは自分で企業を経営する」という大いなる野心が芽生えました。
高校時代に経験した、各自のプライドを持つバンドメンバーをまとめる苦労や、野球で培ったやりきる力、そしてゲームでの原体験。これら全てがパズルのピースのように噛み合い、現在のフライヤーの成功へと繋がっています。画一的な教育からは生まれ得ない、個性を徹底的に尊重する環境がいかに大切か、大賀氏の半生は私たちに教えてくれています。
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